●こんなお話
妹を救うためにエジプトの秘薬を手に入れようとする話。
●感想
オープニングで登場するのはアデルという名前の女性。いきなりエジプトでミイラを探していて、観ているこちらとしては「彼女は一体何者なのか?」という疑問がまず浮かびました。肩書きも目的も過去の描写もなく、突然冒険のど真ん中に放り込まれる感覚で、キャラクターの背景がわからないまま物語が始まってしまいます。
その後、アデルは黒服の謎の組織にミイラを横取りされそうになるが、何とか逃げ切る。この時に登場する敵キャラらしき存在も、なぜ登場したのか、今後どんな役割があるのかといった説明はまったくなく、その場限りで退場してしまうという。意味深な登場をした割に、これ以降まったく出てこないので拍子抜けでした。
冒険要素が見られるのもこのエジプトパートだけで、映画の大半はパリが舞台。しかも、パリに到着したアデルはなぜかすでにミイラを持っていて、どうやってフランスまで持ち帰ったのかという当然の疑問はスルー。ここからは、植物状態になった妹を救うためにミイラを甦らせて、秘薬を作ってもらうという話になる。だが「なぜミイラを甦らせると秘薬を作ってくれるのか?」という設定の根拠も描かれず、「そういうものだ」と受け入れるしかない展開になっていました。
物語のもう一つの軸として、突然翼竜が誕生する事件が発生する。だが、これまた「どうして翼竜が出現したのか?」という説明がなく、状況だけがどんどん進んでいく。アデルはこの翼竜を復活させた博士と知り合いらしいが、その関係性も背景も説明がなく。情報があまりにも省かれていて、観客が登場人物の関係を自力で想像するしかない構成になっていました。
そして、映画の中盤からは博士を救出する展開になるのだが、それに関係のないフレンチコメディ調のエピソードが延々と挿入され、本筋とまったく関係のない笑いが続く辛い時間。テンポが悪くなり、どこに焦点を当てて観ればいいのかがブレてしまうものでした。
久しぶりに「何を観せられているのか、意味がわからない」と思ってしまう映画でした。唯一よかったのは、アデルを演じる女優が美しかったこととかで。それがなければ、集中力を保つのが難しいほど混沌とした作品でした。
☆
鑑賞日:2011/11/19 DVD
監督 | リュック・ベッソン |
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脚本 | リュック・ベッソン |
原作 | タルディ |
出演 | ルイーズ・ブルゴワン |
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ジル・ルルーシュ | |
ジャン=ポール・ルーヴ | |
マチュー・アマルリック | |
フィリップ・ナオン |