映画【孤高のメス】感想(ネタバレ)

Kokô no mesu
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●こんなお話

 脳死肝移植に挑む外科医の話。

●感想

 火葬場で亡くなった人の思い出を語る人たち。遺族である息子が遺品から日記を見つけて、その人の回想に入る。1989年の地方病院に主人公の医者が配属されるところから始まって、前例とか慣習とか関係なく苦しんでいる患者を救うという行動を持った主人公。

 今までやったことのない難しい手術を行って救っていく。そういう行動に感化されていく主人公の医療チームだったり、それに反発する昔からいる医者とかがいる。

 独り身の主人公に対して市長が自分の娘とお見合いをさせようとしたり、看護師が主人公の影響で勤務が楽しくなって勉強したり子どもともいい感じになったり。昔に医療事故隠蔽みたいなのに失望して辞める若い医者がいるけど主人公が外国で勉強してこいと送り出したり。

 市長が喀血して倒れてこのままだと危ないという状況の中、中学生が脳死状態になって生体肝移植しかないと主人公が決断して、周りは成功しても失敗しても罪に問われると反対してマスコミとか警察も騒ぐけど、手術をして成功。

 主人公は別の病院に移動してみんな感謝しておしまい。

 ひたすら「目の前で苦しんでいる患者を救う」という行動の一点突破で突き進む主人公の当麻先生。主人公が廃れた病院へやってきて、マイナスな気持ちだった病院の人たちを変化させて去っていく。という西部劇のスタイル。

 目線はシングルマザーのナース浪子の目線で主人公を見て行くモノローグで進んでいきます。様々な手術を手際よくこなしてく堤真一さんのカッコよさったらないです。お金にも女性にも興味を示さずひたすら患者を救う。その信念に見ているボクは浪子さんと同様惹きつけられていきます。
 それでいて、手術中には都はるみをかけたりして周りから反対されるといじける。それでいて浪子との出会いは、雑に手術道具を扱うところを注意する初対面もよくできていて面白いです。
 そして手術シーンはガッツリと臓器を見せていき、ごまかさずにしっかりと映していくのはグロテスクに感じる人もいるかもしれないですが。肝臓に血液が通うところなんか、医療チームと同様、感動すら覚えました。

 ストーリーは序盤は当麻先生の仕事の姿を見て変化していく周りのスタッフたち。そして前例のない脳死肝移植に挑む。それに至るマスコミのバッシングや警察の捜査。
 それでもひたすら主人公は目の前の患者を救うということだけ。脳死した若者の母親の余貴美子さんが屋上で肝臓を移植するのをお願いするシーンも真っ白な天国のような映像になっていてよかったです。

 ただ、孤高のメスと言いながらも最初から結構いい感じのチームだし。カタキ役はわかりやすいステレオタイプな配置でどうなんだろうとも思ってしまいますが。
 医者の信念とは、この映画の主人公が果たして全面的に正しいのかとかを考えるきっかけになる良質な医療映画でよかったです。

☆☆☆☆

鑑賞日:2011/03/05 イオンシネマ多摩センター 2024/03/23 Hulu

監督成島出 
脚本加藤正人 
原作大鐘稔彦
出演堤真一 
夏川結衣 
吉沢悠 
中越典子 
矢島健一 
成宮寛貴 
松重豊 
平田満 
余貴美子 
生瀬勝久 
柄本明 
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