映画【喜劇王】感想(ネタバレ):撮影現場と黒社会を行き来する喜劇

King of Comedy
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●こんなお話

 スターを夢見るエキストラ俳優がホステスに演技指導して恋をしたり映画界の現場でドタバタしたりする話。

●感想

 主人公は映画の撮影現場でエキストラ仲間に熱心に演技指導をしている。まるで監督のような振る舞いだが、実際には主人公自身もスタッフから怒鳴られるただのエキストラであった。スター女優が主演するアクション映画の撮影でも、主人公は群衆役の一人。監督から「すぐに倒れろ」と指示されてもなかなか死なず、主役の背後で目立ちすぎてしまい、再び注意を受ける。

 一方、女子高生の制服姿でクラブのホステスとして働くヒロインが登場する。客の相手をする日々に疲れ、ホステス仲間とともに演技のレッスンを受けることを決め、指導役に抜擢されたのが主人公だった。最初は口論ばかりの二人だったが、次第に距離を縮めていく。主人公は自ら舞台を立ち上げようとするも観客を集められず、街のチンピラの少年と組んで観客集めを試みる。

 撮影現場では主人公がスタッフに呼び止められてエキストラとして出演し、結局また叱られる。帰りには無口で怖い弁当係にも怒られるという日々が続く。やがてヒロインとの関係が深まり、主人公は「自分が養う」と宣言するまでになる。そんな中、スター女優が主人公に目をかけ、相手役に抜擢されるという大チャンスが訪れる。しかし、彼とヒロインの親密さを知ったスター女優は、彼を降板させてしまう。

 落ち込む主人公に声をかけたのは、あの弁当係だった。彼の正体は潜入捜査を得意とする警官で、主人公も捜査に協力することになる。出前持ちを装い、銃をすぐに抜く危険な黒社会の一味に潜り込むが、あっさり正体がばれて命の危機に直面。やむなく銃を手にした主人公は、相手を撃ち倒して危機を脱する。

 映画の感想としては、下品な笑いが差し込まれる場面には少し引いてしまいましたが、映画の撮影風景を覗き見ることができる点は非常に面白かったです。特に香港映画界ならではの大掛かりなアクションシーンの裏側をコミカルに描く部分は楽しめました。両手を炎に包んだまま白い鳩を飛ばすかどうかを巡って揉めるギャグなどは、チャウ・シンチー本人が大丈夫なのか心配になるほどで、そのバカバカしさに笑ってしまいました。

 ただ、主人公の指導でヒロインの演技力がどう変化したのかがいまいち伝わらず、むしろホステスとして客に暴力を受けてしまう展開は気の毒でした。また、物語のラストに突然シリアスな潜入捜査編が始まり、黒社会相手に銃撃戦が展開する急展開には驚かされました。今までのコメディ調とは一線を画す流れになっており、その唐突さが逆に印象に残る結末でした。

☆☆☆

鑑賞日:2022/11/27 DVD

監督リー・リクチー 
チャウ・シンチー 
脚本チャウ・シンチー 
エリカ・リー 
ツァン・カンチョン 
フォン・ミンハン 
出演チャウ・シンチー 
セシリア・チャン 
ン・マンタ 
カレン・モク 
ジャッキー・チェン 
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