●こんなお話
ギャンブル狂で借金まみれの老人が若い時の助監督時代を思い出したり、孫に脚本の才能を再発掘してもらって頑張っていこうとする話。
●感想
雑誌の編集で働く女性のもとに電話がかかってきて、どうやら父親の借金があってその催促の電話。ギャンブルと酒に溺れていて子どもたちにも金の無心をしてくるダメ男。娘はそんな父親を許せず、父親に甘い母親も攻める。娘たちはギャンブル依存症のセミナーとかに行って何とか父親を更生させようとして、家を追い出す。主人公は親友が経営する名画座へ避難して、そこでかつて自分が助監督やってたときの映画女優の作品を見て、その現場を思い出して松竹撮影所全盛期の回想をする。
過去パートでの若い役者さんたちが映画の撮影をしていて、そこで助監督として頑張る主人公に友達の映画女優、親友の映写技師、近所の食堂の娘さんがいて、先輩監督たちの古い映画とは違う自分のシナリオで映画監督デビューを夢見る主人公。映写技師は食堂の娘さんに恋をして主人公に相談したり。けれども娘さんは主人公のことが好きで主人公は一歩引こうとして、それを察して親友が怒ったりという定番の気持ちのすれ違いが楽しいです。
ただせっかく松竹撮影所を舞台にキネマ愛を描いているのかと思いきやあまりリアリティーやフィクションならではのノスタルジーさは特に感じられず、【蒲田行進曲】などのような撮影所を舞台にした映画が作られる活気、元気みたいなものは一切伝わってこなくて、本当に1年に何本もの映画が作られている場所なのだろうかという撮影所でした。
それに現代パートは子どもやWEBデザインの仕事でお金を貯めている孫にすら金の無心をするのとか名画座でビールを盗んだりと最低人間になってしまっている主人公ですが、どこかに憎めないという部分はあまりなく、普通にダメ人間にしか見えないので、劇中の寺島忍さん同様、怒りしか湧きあがらなかったです。そのためなぜ孫がおじいちゃんにシナリオの才能があって城戸賞応募を促すという行動をとるのかとかもあまりに突飛すぎてついていけなかったです。宮本信子さんが小林稔侍さんの名画座のバイト募集に行って知り合いだったという偶然とかも苦笑いでした。
ちょっと家族に迷惑をかけて、死に際の最後まで周囲に迷惑をかける主人公に対して天罰であると冷たい視線を送ってしまう映画でした。
☆☆☆
鑑賞日:2022/02/03 DVD
| 監督 | 山田洋次 |
|---|---|
| 脚本 | 山田洋次 |
| 朝原雄三 | |
| 原作 | 原田マハ |
| 出演 | 沢田研二 |
|---|---|
| 菅田将暉 | |
| 永野芽郁 | |
| 宮本信子 | |
| 野田洋次郎 | |
| 北川景子 | |
| 寺島しのぶ | |
| 小林稔侍 | |
| リリー・フランキー | |
| 前田旺志郎 | |
| 志尊淳 | |
| 松尾貴史 | |
| 広岡由里子 | |
| 北山雅康 | |
| 原田泰造 | |
| 片桐はいり | |
| 迫田孝也 | |
| 近藤公園 | |
| 豊原江理佳 | |
| 渋谷天笑 | |
| 渋川清彦 | |
| 松野太紀 | |
| 曽我廼家寛太郎 |


