映画【スリングショット】感想(ネタバレ)

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●こんなお話

 スポンサー集めに苦労するレーシングチームが話題作りのためにレースゲームの王者をレーサーにしたり、全盛期を過ぎたレーサーが悩んだりする話。

●感想

 レースシーンから始まり、実況解説でライオンズというチームは昔は常勝軍団だったけど、今はなかなか勝てないこと。ライオンズのドライバーは2人いて、1人は昔のチャンピオンで全盛期を過ぎたドライバー、初の女性ドライバーの2人。相棒だけど、ベテランドライバーはオレオレ主義で女性ドライバーを命令しようとするけど、女性ドライバーは言うこと聞かず。同じチームなのにお互いで争いあっている状況。ベテランドライバーのかつての相棒で2連覇中のカタキ役ドライバーに毎回やられちゃって。

 レーシングゲームは得意だけどフェイスブックに鈴鹿で試験に落ちたうんぬんとレーサー風に装っている主人公の男性。夜な夜な街で行われるカーレースに出て見たりするけど、実際のドライビングテクニックはそれほどでもなく。スポンサー離れが酷いので話題作りのためにゲーム会社と一緒にゲーマーを本物のレースに参加させようとなって、女性ドライバーがフェイスブック上で高校の同級生であるゲーマーの主人公を誘う。テストとかするけど、案の定そんなの上手くなかったり。ゲーマーは高校時代から女性ドライバーの背中を追いかけてたらしい回想が入ったり。ベテランドライバーは視力の問題があったり、データでブレーキのタイミングが悪くなっていると肉体的衰えが顕著になってきたり、ゲーマーとか参入してきたりしてイライラが募ったりしつつ、3人がレースでカタキ役たちに勝てるのかどうなっていくのかという。

 3人の主人公を結構深く描いていて、それぞれの悩みがしっかりと映してそれを解決するのかしないのかと面白さ。あとは脇役だと思っていた初代創立者の息子の2代目とかも経営で悩んでやめようとするのを引きとめたりとか、カタキ役でかつての相棒だった男が鏡で銀歯を見ているなと思っていたら、過去にベテランドライバーに方針を巡って対立して殴られていて、それを恨みに思っていたりと脇役に至るまで心理状況が描かれるのが面白かったです。

 それに単純にレースシーンも迫力があって、ライバルのスタンドプレーに対してチームプレーで挑むという王道のスポ根的な面白さもありました。レースシーンで実況解説が今の状況を説明してくれるのもわかりやすかったです。あとは映像も結構綺麗で、ゲーマーと手を負傷してマニュアルを運転できない女性ドライバーが雨のレーシング場を運転するときのスローとか綺麗だったり、クライマックス前のカークラッシュでの無音に近くなってのスローで車がひっくり返って、クラッシュした人が三途の川よろしく観客席にいる亡くなった創立者を夕陽の中、見上げる。等の映像が印象に残りました。

 ただやっぱりゲーマーが本当にレーサーとして凄いというのが、最初はなかなか上手くできなかったのを耳栓した途端にパワーアップとかも笑っちゃう攻略法だったり。クライマックス前のミッドポイントとしてのある人物が負傷したのをきっかけにみんなが落ち込んで悩んで…という展開がしんみりしすぎで個人的には長く感じました。それに女性ドライバーが自分のポジションがなくなると怒ってライバルチームに移籍して、事故が遭ったら、また元に戻るというのとかカタキ役に「行ったり来たり迷惑なんだよ」みたいなことを言われてましたが、その通りではないのかと思ったりしました。2人で協力して行うスリングショットという技も結構連発で、クライマックスの勝てるのか勝てないのかというハラハラドキドキはそれほどないのも残念で、レースシーンで勝つという盛り上がりより。主人公がなぜレースをするのかという動機の部分を解明する高校時代の回想。という部分での盛り上がりになっていました。

 とはいえ、製作総指揮のジェイ・チョウがカメオ出演なのかと思いきや、結構な出演時間で主人公が悩んでるときのメンター的な存在なのが楽しい映画でした。

☆☆☆

鑑賞日:2022/02/04 ヒューマントラストシネマ渋谷

監督ジム・チェン 
脚本ジム・チェン 
ジェイ・チャン 
製作総指揮ジェイ・チョウ 
出演ツァオ・ヨウニン 
ハンナ・クインリバン 
ファン・イーチェン 
アラン・コー 
ガオ・インジュエン 
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