●こんなお話
ユーチューバーは大変な話。
●感想
ユーチューブの世界を舞台に、仮面をつけたユーチューバーが喧嘩の様子を撮影しているシーンから物語は始まる。酔いつぶれた女性の主人公を、男性の主人公が優しく介抱する。女性は動画投稿を日々続けているものの、再生回数が伸びず悩みを抱えている。男性はそんな彼女のために動画の撮影や編集、企画を一緒に考えながら力を尽くして支えていく。彼は自身の時間やお金を惜しまず尽くすが、その見返りを求めないという強い意志を示す。
女性が人気ユーチューバーのイベントに参加し、知人の紹介でコラボの機会を得る。その後、映像デザイナーの助けを借りてプロデュースを受け、人気を徐々に獲得していく。しかし、人気の上昇に男性は納得できず、意見の食い違いから次第に関係に亀裂が生じる。撮影現場でも邪魔者扱いされるようになり、ついに男性は切り捨てられてしまう。お金や時間を費やしたことを問いただすも埒が明かず、男性も自身でユーチューブを始め、互いに批判し合う関係へと変わっていく。やがて直接対決の撮影を行い、揉めるものの男性は改めて「見返りは求めない」と心に誓う。
オープニングでは、仮面をつけた少年ユーチューバーが主人公のファンを装いエアガンを撃ち、追いかける途中でチンピラと衝突して殴られる映像が映し出される。血だらけで踊る男性の映像を女性が見つめるシーンも印象的だ。人気ユーチューバーとの花火を使った撮影中に女性が大やけどを負い、病室に仮面のユーチューバーが勝手に訪れて撮影を試みるが、男性が脅して追い返す。女性は男性に「嫌いだけどありがとう」と感謝の言葉を口にする。
男性が帰宅した際、少年ユーチューバーに刺されて負傷し、血を流しながら自撮りでダンスを踊るラストシーンで物語は終わる。
全体を通して、過激な行動で登録者数や再生回数を増やすことに奔走する人々の姿を、吉田監督らしいユーモアと毒の効いた視点で描かれており、楽しめました。物語は成り上がりの軌跡を丁寧に追いながら、ユーチューブという現代的な舞台を活かして仲間同士の対立や争いを描いている点が魅力的に感じられました。
ただ、突然登場しすぐに退場する少年ユーチューバーの役割がやや理解しにくい部分もありました。また、告げ口をする者の厄介さを改めて教えてくれる物語であり、そうした人間模様も含めて興味深く鑑賞しました。
☆☆☆☆
鑑賞日:2023/04/04 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 吉田恵輔 |
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脚本 | 吉田恵輔 |
出演 | ムロツヨシ |
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岸井ゆきの | |
若葉竜也 | |
吉村界人 | |
淡梨 | |
栁俊太郎 | |
田村健太郎 | |
中山求一郎 | |
廣瀬祐樹 | |
下川恭平 | |
前原滉 |