●こんなお話
太古の昔から侵略してきた悪魔みたいなのが復活してヒーローたちが喧嘩しながら立ち向かう話。
●感想
今までのDC映画シリーズでは、明るくてテンポの良い勧善懲悪のスタイルが多かった印象でした。この作品でも、初登場のキャラクターたち3人はしっかり描かれていて、それぞれに個性と魅力が感じられたのは良かったです。
冒頭のワンダーウーマンによる弾丸を弾いたりかわしたりするアクションシーンは迫力があり、観ていてワクワク。アクションでしっかりと観客の心を掴む見せ場としては完璧だったと思います。ただ、残念ながら自分にとってはそこがピークで、あとは全体的に盛り下がってしまった印象でした。
物語は「世界征服を企む敵が出現した」という王道の流れで、バットマンが各地のヒーローに声をかけてチームを結成していく。けれど、フラッシュは「友達が欲しい」という個人的な理由で参加し、最初は断っていたアクアマンは自分たちの守る“箱”を奪われたから参戦。サイボーグは父親が誘拐されたことで加わる。つまり、バットマンのカリスマ性や指導力でチームが結成されたわけではなく、それぞれが勝手に巻き込まれてるだけのように見えてしまいました。結果として、チームには団結力も熱さも感じられず、ただの寄せ集めに見えてしまったのが惜しいです。
その中でも特に印象的だったのは、ワンダーウーマンが実質的にリーダーとして戦いを引っ張っていたことで。バットマンの立ち位置があまりにも影が薄く、彼がいなくても成り立ってしまうようにすら感じてしまいました。クライマックスのバトルでも、主に戦っているのはワンダーウーマンとアクアマン。フラッシュは人命救助に専念し、サイボーグはボックスの処理。バットマンは下っ端の敵を相手にしているだけで、直接的な貢献があまり見られなかったのは残念でした。
また、クライマックスで助ける人々も1家族のみで、スケール感がいまいち伝わってこず。あの場所に一体どれくらいの市民がいたのかも曖昧で、世界が本当に危機に瀕している感じがしなかったです。フラッシュの超高速移動の能力に関しても、以前公開された【X-MEN】シリーズのクイックシルバーと被ってしまっていて新鮮味に欠けるものでした。
ヴィランであるステッペンウルフも、最初はとても強そうに登場するのに、途中からヒーローたちに圧倒される展開になってしまい、強さのバランスが不安定。物語の鍵となる“3つのマザーボックス”の設定も詳しく語られず、唐突にファンタジーっぽい世界観が広がって、原作を知らない自分には少し置いてけぼりな印象でした。まるで【ロード・オブ・ザ・リング】のような中つ国的な背景を持つ地球が、唐突に出てくるような感じを受けたり。
スーパーマンの復活後のパワーが圧倒的すぎて、彼一人いればもう全部解決してしまうような流れになり、せっかくのチーム戦の意味が薄れてしまったのも惜しいです。バランスの崩れた展開で、せっかくのチームの魅力が引き出しきれていないように思えました。
総じて言えば、ちょっと退屈な【アベンジャーズ】といった感じで。DCのヒーローが集結するという期待感はあったけれど、それが上手く噛み合わず、印象に残る熱さや感動が乏しかったです。スーパーマンがたまたまアメリカで土葬されていたから復活できたけれど、これがもし日本だったら火葬されていて再登場できなかったかもしれない、という妙なリアリティが逆に印象的な1作でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2017/11/24 TOHOシネマズ川崎 2020/10/18 DVD
監督 | ザック・スナイダー |
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脚本 | クリス・テリオ |
ジョス・ウェドン | |
原案 | クリス・テリオ |
ザック・スナイダー | |
製作総指揮 | クリストファー・ノーラン |
出演 | ベン・アフレック |
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ガル・ガドット | |
ジェイソン・モモア | |
エズラ・ミラー | |
レイ・フィッシャー | |
ヘンリー・カビル | |
エイミー・アダムス | |
ジェレミー・アイアンズ | |
ダイアン・レイン | |
コニー・ニールセン | |
J・K・シモンズ |
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