●こんなお話
太平洋戦争中のスパイ機関であるD機関に入った主人公が世界のスパイと競争しながら新型爆弾の情報を奪い合う話。
●感想
軍法会議で処刑されるはずだった主人公がスパイとして養成されていく序盤。その訓練の様子がテンポよく描かれて行って面白かったです。記憶術とか語学であったり格闘術や拳銃の扱い方を覚えていく主人公。そしてミッションが発令されて、アメリカ、イギリス、ソ連、ドイツが狙うブラックノートを巡っての攻防が始まります。
写真屋としてアメリカ大使に近づく主人公。チェスをやってるアメリカ大使に簡単に信頼を得ていっちゃいます。その大使、大使館で働く日本人のメイドに対して性欲爆発でなかなかの極悪っぷりを発揮します。そして主人公は彼女を助けつつ大使が隠しているフィルムを盗もうする。そこからの追いかけっこがあったり。
そっからがイギリスの諜報機関と奪い合い、そして日本陸軍の邪魔などがありつつ、見せ場としてスピード感いっぱいのチェイスシーンとかが出てきますが、それがそんなに迫力なくて、ちょっとキツかったです。いろんな姿に一瞬で変装したりして逃げたりも追手を巻くとかできずにただ着替えてるだけで一体何の意味があるのかというので、そんなに盛り上がらなかったです。見せ場がアクションシーンの映画だと思うので、クライマックスの逃走なんかもこれまた同じでした。むしろ漫画的なケレン味いっぱいの展開なのがリアリティが感じられなくて無茶苦茶度がアップしてしまって、逆に乗り切れなかったです。もはや何でもありの世界。ピンチの脱出の仕方も「スリーパー」って何? とびっくりしてしまいました。後だしじゃんけんの二重スパイ設定。もっと伏線とかで気持ちよく騙して危機を突破してほしかったです。
まだまだ新米な主人公を周りのメンバーがサポートしながら奪い合いをしていきますが、主人公は簡単にヒロインに感情が移っちゃって、スパイ失格なんではなかろうか? あれだけ序盤で訓練してたのは一体何だったのかとラブシーンが始まって苦笑いでした。
あとは、カタキ役の英国諜報機関の人たちが安っぽく見えてしまうのは日本映画の宿命か。そのためクライマックスで追い詰められても全く怖くなかったです。
そのためクライマックスの英国軍人たちとの追いかけっこの末、屋上で拳銃を突きつけられてのピンチからの火が火薬に落ちて炎が包まれていくというのも、あまりにも漫画的でリアリティラインがどういう基準で見ればいいのか、冒険活劇的な面白さを楽しめばいいのか、見方がわからなかったです。最後の最後で死んでいた仲間裏切ったと思った仲間が集合して、英国軍に追いかけられての車内のやりとりはいきなり「ルパン三世」感が出てくるのとかもテイストが今までとがらりと変わる雰囲気についていけなかったです。
とはいえ、見せ場の連続で大泥棒ファミリーのアニメを実写にしたような映画で楽しめました。
☆☆
鑑賞日: 2014/12/05 DVD 2022/03/27 WOWOW
監督 | 入江悠 |
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脚本 | 渡辺雄介 |
原作 | 柳広司 |
出演 | 亀梨和也 |
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深田恭子 | |
小澤征悦 | |
小出恵介 | |
山本浩司 | |
渋川清彦 | |
田口浩正 | |
光石研 | |
嶋田久作 | |
伊勢谷友介 |
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