●こんなお話
透明化する技術はもう完成されていて、主人公の天才科学者は自ら実験体になって透明人間になるけど、案の定戻れなくて……な話。
●こんなお話
舞台は、動物の透明化に成功した極秘研究所。冒頭、ゴリラを透明化し、そこから元に戻すという難題に研究者たちが挑戦している。心停止を乗り越えながら、なんとかゴリラを元に戻すことに成功し、成果を軍の上層部に報告する場面へ。しかし、リーダーである主人公だけは「まだ成功していない」と報告し、チームを困惑させる。
その理由は、自分自身で透明化と復元の実験を行おうとしていたから。主人公はついに自らを透明化し、研究所に隔離される。だが、予想通り復元は簡単にはいかず、体調は悪化し、精神的にも追い詰められていく。やがて外に出たいという欲求が暴走し、同僚女性への性的暴力、隣人女性へのレイプなど、人間としての理性が崩壊していく。
さらに元恋人が同僚と付き合っていることを知って怒りが爆発。軍へ報告に向かった仲間を追って、軍人を殺害。研究所では主人公が姿を消した後、外部との通信が遮断され、仲間たちは彼の行方を追うが、次々と殺されていく。
元恋人は冷凍室に閉じ込められ、研究所の爆破を止めようとするが、主人公との壮絶なラストバトルに突入。火炎攻撃やエレベーターシャフトでの脱出劇など、アクション満載のクライマックスの末、崩れ落ちるエレベーターとともに主人公がついに敗れる。
この作品の見どころは、透明化の過程を皮膚、筋肉、血管、内臓と段階的に描くVFXのリアルさで。水や煙の中で体が浮かび上がる表現も非常にユニークで、透明人間ものとしては過去にない映像体験でした。
ただし、国家レベルの機密プロジェクトにしてはセキュリティは甘く、登場人物も天才科学者にしては普通の人に見えてしまう点は残念。限られた空間内での内輪もめが中心で、話のスケール感が小さく感じられたのも惜しいところでした。とはいえ、透明人間になって最初にやることが性的衝動の発散というのは、ある意味リアルで、人間の本性を突きつけられるようでもありました。
物語が進むにつれて、暴走する透明人間とそれを止めようとする科学者チームの対決へとシフト。視覚的に面白いバトルが続き、姿の見えない敵を見えるようにするために消火器を撒いたり、血液パックをぶちまけたり、スプリンクラーを使ったりと、演出にも工夫があって飽きなかったです。とはいえ、科学者たちに魅力が乏しく、あまり感情移入できなかったのも確かでした。
それでも、最後までハラハラドキドキの連続で、エンタメとしては十分に楽しめる一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2013/09/06 Hulu 2024/02/12 WOWOW
監督 | ポール・バーホーベン |
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脚本 | アンドリュー・ダブル・マーロー |
出演 | エリザベス・シュー |
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ケヴィン・ベーコン | |
ジョシュ・ブローリン | |
キム・ディケンス |