●こんなお話
最新ジャンボジェット機がハイジャックされて戦う保安員の話。
●感想
かつて要人警護のスペシャリストとして名を知られていたハオジュンは、ある交通事故によって人生を大きく狂わせる。自ら運転していた車の事故によって幼い娘シアオジュンは視力を失い、妻フー・ユエンとの関係も破綻。
家族を守れなかったという強烈な罪悪感を抱えたまま、ハオジュンは航空会社の保安警備員として働きながら孤独な日々を送っていた。以前のような自信や誇りは消え失せ、感情を押し殺すように毎日をやり過ごしている。
それから八年後。ハオジュンは会長警護の任務が急遽中止となり、大型旅客機による帰国便へ搭乗する。そこで偶然、元妻フー・ユエンと娘シアオジュンの姿を見つける。娘はすでに成長していたが、幼少期に離れ離れとなったため父親の記憶はほとんど残っていない。ハオジュンもまた、自分が父親だと名乗り出ることができず、遠くから静かに見守るだけだった。
しかし離陸後まもなく、機内で乗客同士のトラブルが発生する。些細な揉め事かと思われたその騒動は、実は計画的なハイジャックの始まりだった。武装した犯人グループはファーストクラスを制圧し、機内を占拠。乗客たちは瞬く間に恐怖に包まれる。
犯人グループを率いるのはマイクという男で、冷酷かつ用意周到な性格を持つ。彼らは機内システムを掌握し、乗員たちを脅迫しながら飛行機を支配していく。犯人たちは、航空会社内部とも繋がりを持っており、会社重役の一人が裏で内通していた事実も明らかになる。
異変を察知したハオジュンは、自らの正体を隠しながら行動を開始。エコノミークラスの客室乗務員たちと協力し、少しずつ反撃へ転じていく。狭い通路、貨物室、免税品エリアなどを舞台に、犯人たちとの肉弾戦が次々と展開される。
ハオジュンは元警護員らしい戦闘能力を発揮し、一人ずつ犯人を排除していく。その最中、ハオジュンは無線機を通してシアオジュンと会話を交わす。父親だと名乗れないまま、それでも少女を励まそうとするやり取りが描かれ、娘もまた声だけの相手に心を開いていく。
機体を爆破して、飛行機の一部が大破。急激な気圧変化によって乗客たちは機外へ吸い出されそうになる。混乱の中、シアオジュンまでもが機外へ放り出されかけるという危機に陥る。
ここでパラシュート資格を持つ客室乗務員が決死の行動を見せて、彼女はシアオジュンを抱えたまま機外へ飛び出し、空中で少女を保護。そのままパラシュート降下を敢行するという、常識を超えた救出劇が繰り広げられる。
一方、機内ではハオジュンとマイクの最終決戦へ突入。崩壊寸前の機体の中で激しい殴り合いが展開され、ハオジュンは家族を守るため最後まで立ち向かう。
飛行機は深刻な損傷を受けながらも辛うじて飛行を維持しており、地上では緊急着陸の準備が進められる。最終的にレスキュー隊が幹線道路を封鎖し、即席の滑走路やトラックを改造して車輪の代わりを作成。制御困難な巨大旅客機は危険な状態のまま道路へ着陸する。
壮絶な危機を乗り越えたあと、ハオジュンはついに元妻と娘と再会しておしまい。
大型旅客機を舞台にした密室型アクション映画として、かなり勢い重視の作品でした。リアリティよりも「とにかく派手に見せる」という方向性が強く、終盤に向かうほど無茶な展開が連発されるのですが、その豪快さが逆に楽しくなってくるタイプの一本でした。
特にクライマックスの着陸シーンはかなり強烈でした。巨大旅客機を幹線道路へ無理やり着陸させるという展開そのものが大胆ですが、レスキュー隊が道路に集まり、火花を散らしながら機体が滑走していくスペクタクル描写は非常に盛り上がりました。現実的かどうかを考える前に勢いで押し切ってくるため、見ている側も半ば笑いながら楽しめるパニック映画になっていたと思います。
さらに、その前に描かれる「機外へ飛び出した少女を空中でキャッチする」というシーンもかなり豪快でした。完全に漫画的なノリではあるのですが、極限状態の中で次から次へと危機を積み重ねていくため、エンタメとしての熱量は高かったです。
アンディ・ラウはさすがの存在感で、年齢を感じさせないアクションを披露していました。常に帽子を被っている姿が妙に印象的で、渋いスター性で画面を引っ張っていく力はやはり大きかったと思います。
ただ、キャラクター設定には少し気になる部分もありました。主人公には感情を抑えきれず癇癪を起こす一面が設定されていましたが、その性格が物語に大きく関わるわけでもなく、途中からほとんど機能していない印象でした。序盤では不安定な人物として描いていたのに、中盤以降は普通の頼れるヒーローになっていたため、設定だけが浮いていたように感じます。
また、無線機を巡る場面もかなり独特でした。子どもたちが重要そうに持っていた無線機を、アンディ・ラウ演じる主人公が突然回収して投げ捨てる展開には驚かされました。その後、無線を持っていた子どもたちの存在感が急に薄くなっていくため、「あの場面は何だったのか」と少し混乱しました。
アクション演出に関しても好みが分かれそうです。格闘シーン自体は数多く用意されているものの、カット割りがかなり細かく、誰がどこで何をしているのか把握しづらい場面が多かったです。狭い機内という舞台を活かしたアクションのはずなのに、編集が慌ただしすぎて空間把握が難しく、後半になるほど単調に感じてしまいました。
さらに回想シーンも短いカットを連続で挟み込む演出が多く、感情ドラマを描こうとしているのは伝わるのですが、映像の切り替えが激しすぎて落ち着いて見られなかったです。家族ドラマをしっかり描きたいのか、パニック映画として突き進みたいのか、少しバランスが不安定な印象も受けました。
それでも、飛行機が爆発し、犯人と殴り合いをしながら、最後は道路へ強行着陸するという大味な展開には独特の面白さがありました。細かい部分を気にするより、「次は何をやるんだ」というテンションで楽しむタイプの航空パニック映画で完全なるフィクションだと思いますが、テロップでキャラクターのその後が説明されるのが斬新の1本だったと思います。
☆☆
鑑賞日:2026/05/23 DVD
| 監督 | オキサイド・パン |
|---|---|
| アクション監督 | リン・ユーアン |
| 脚本 | バイ・ユー |
| チェン・シュン |
| 出演 | アンディ・ラウ |
|---|---|
| リウ・タオ | |
| チャン・ツィフォン | |
| チュー・チューシャオ | |
| デヴィッド・ワン | |
| ジャン・チャオ |

