映画【花咲く港】感想(ネタバレ)

hanasaku
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●こんなお話

 南九州の港町に現れた2人のペテン師の話。

●感想

 花火があがるシーンにタイトルバックで映画が始まる。浜辺で一人の女性とその父、警官が会話をしている。タイへよう戦争直前の九州の片田舎の小さな島が舞台。
 この島で造船事業を興そうとして失敗した人物の息子と名乗る男二人がやってくる所から物語が始まります。実はこの二人知り合い同士のペテン師で、造船を引き継ぐという話で金を集めて逃げるつもりだったが、あまりに島の人々が純粋で大金が集まり後込みしてしまう。そして逃げようとした夜に真珠湾攻撃が始まり人々は戦意高揚が高まって行きという話。

 最初の人物関係がわかりづらかったですが、ペテン師が出てくるところからグンと面白くなっていきました。ペテン師二人のやりとりは漫才となっていて、喜劇として完璧だと思いました。 
 最初は船など造るつもりもなかったが、島民たちは信じ切って、いつのまにかどんどん船の建造は進み、戦争の成果も上がって意気揚々とする中、船が完成する。その浸水式の花火のショットで最初のタイトルシーンとかぶる。

 旅館かもめ館から海をとらえるショットや自転車で走る女性のシーン、見下ろした浜辺のシーンなど後の傑作の数々に見られるシーンが至る所に見受けられる。
 さらに冒頭でおかのさんが昔を回想するシーン、馬車の背景が過去の場面に変化したりという実験的なシーンも見られ、とにかく木下恵介の才能をかいつまんで紹介する結果になる作品だった気がします。

 物語の構成がしっかりとしていて、場面の切り替えしが実にスムーズ。コミカルなシーン、サスペンスフルなシーンがちりばめられ、クライマックスの嵐のシーンなどのスペクタクルなショットも取り入れられた劇的な展開がお見事な映画でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/06/23 DVD

監督木下恵介
出演小沢栄太郎
上原謙
水戸光子
笠智衆
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