●こんなお話
火星にやってきた人類が火星の先住民に襲われる話。
●感想
西暦2176年、人類は火星への移住を成功させ、多くの都市や鉱山を築いて生活していた。火星警察(MPF)の警部補メラニー・バラードは、ある任務からただ一人だけ生還し、審問委員会で事件の全貌を証言する。物語は彼女の証言を軸とした回想形式で進む。
メラニーは司令官ヘレナ・ブラドックをはじめ、ジェリコ・バトラー、バシラ・キンケイド、マイケル・デスカンソらとともに、辺境の鉱山都市シャイニング・キャニオンへ向かう。任務は凶悪犯罪者ジェームズ・”デソレーション”・ウィリアムズを護送することだった。
しかし街へ到着すると、不気味な静寂が広がる。建物は激しく破壊され、通りには無数の死体が転がっている一方、生存者の姿は見当たらない。唯一生き残っていたのは刑務所に収監されていたデソレーションだけだった。彼は警官たちへ「もう手遅れだ」と意味深な言葉を投げかけ、街で起きた異変を知っている様子を見せる。
警官隊は街を捜索し、生存者を探し始める。やがて採掘車両の中で鉱夫ホイットロックを発見するが、彼は決して扉を開けるなと叫び続ける。警官が救助のため扉を開けた瞬間、錯乱したホイットロックが襲いかかり、その直後、街中から異様な戦士たちが姿を現す。
彼らは身体中を切り刻み、傷跡を勲章のように刻み込んだ狂戦士だった。火器や斧、槍などを巧みに扱いながら集団で襲撃を仕掛け、人間としての理性を失っているにもかかわらず、統率の取れた戦術で警官隊を追い詰めていく。仲間は次々と命を落とし、生き残った者たちは街から脱出する術を失ってしまう。
デソレーションは街で起きた惨劇の真相を語る。鉱山労働者たちは地下深くで古代火星文明の遺跡を発見し、封印された石室を開いてしまった。その瞬間、赤い煙のような霊体が解き放たれ、作業員たちへ次々と憑依していく。それは太古に滅びた火星先住民族の戦士たちの魂であり、自分たちの惑星へ侵入した地球人を滅ぼすため、人間の身体を乗っ取って復活した存在だった。
憑依された人間は自らの皮膚を切り裂き、顔や身体を傷だらけに変形させ、戦うことだけを目的とする狂戦士へ変貌する。こうして街の住民は次々と取り込まれ、シャイニング・キャニオンは亡霊たちに支配された死の街となっていた。
生き残った警官たちは脱出するため、犯罪者であるデソレーションと一時的に協力することを決断する。彼は圧倒的な戦闘能力を発揮し、部下たちも合流して亡霊たちとの戦いに加わる。
警官隊は駅や建物を転々としながら脱出を試みるものの、亡霊たちは圧倒的な数で襲い続ける。ブラドック司令官は探索中に首を切られて命を落とす。デスカンソやキンケイドも激しい戦闘の末に倒れ、生存者はさらに減っていく。
戦闘中、メラニーは火星人の霊体に憑依されそうになる。しかし以前から服用していた特殊な薬物の影響によって完全な憑依を免れ、自力で意識を保つことに成功する。
生き残ったメラニーたちは大量の爆薬を鉱山施設へ運び込み、街そのものを爆破する作戦を実行する。デソレーションの仲間たちは次々と犠牲になりながら時間を稼ぎ、最後はメラニーとデソレーションだけが列車へ飛び乗ることに成功する。
列車が街を離れた直後、鉱山施設は巨大な爆発を起こし、シャイニング・キャニオンは炎に包まれる。多くの憑依者は爆発で消滅したものの、火星人の霊体そのものを完全に消し去れたかは確認できないまま二人は現場を離脱する。
メラニーの証言を聞いた審問委員会は、火星の亡霊という話を信じようとせず、荒唐無稽な作り話として片付けようとする。しかしその直後、爆発から逃れた赤い霊体が都市へ到達し、新たな人間へ次々と憑依を始める。基地内は瞬く間に混乱へ陥り、火星人による侵略は再び始まる。
拘束されていたメラニーの前にデソレーションは武器を手に現れる。二人は新たな戦場へ並んで歩き出しておしまい。
メタルミュージックのPVのようなテンションで暴れ回る怪物軍団がとにかく最高でした。全身を傷だらけにした狂戦士たちが奇声を上げながら襲い掛かる姿は非常にインパクトがあり、ジョン・カーペンター作品らしい独特の世界観を存分に味わえます。
警官と犯罪者が生き残るために手を組み、圧倒的な数の怪物と戦うという設定だけでも心をつかまれました。敵味方の立場を越えて共闘する展開はシンプルながら熱く、最後まで勢いを失いません。
主人公たちはさまざまな作戦を立てて亡霊たちへ立ち向かいますが、仲間は容赦なく首を吹き飛ばされ、次々と命を落としていきます。それでも主人公は感傷に浸ることなく、生き残ることを最優先に行動し続けます。悲劇に立ち止まらず前へ進み続ける姿勢は、本作ならではのハードな空気を生み出していました。
特に印象に残ったのは、「駅まで突っ切ろう」という脱出作戦です。敵に追われながら命懸けで駅へたどり着いたにもかかわらず、列車が来ないと分かった瞬間、作戦は何の代案もないまま終了し、そのまま来た道を引き返す展開には思わず笑ってしまいました。普通のアクション映画なら成功しそうな作戦をあえて外し、予想を裏切る流れにしている点も本作の魅力だと思いました。
終始銃弾が飛び交い、血しぶきが舞い続ける豪快なアクションも見どころでした。深いドラマよりも勢いと迫力を重視した作品であり、ジョン・カーペンター監督が描くSFホラーとB級アクションの魅力を思い切り楽しめる一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2012/02/26 DVD 2026/07/30 U-NEXT
| 監督 | ジョン・カーペンター |
|---|---|
| 脚本 | ラリー・サルキス |
| ジョン・カーペンター |
| 出演 | ナターシャ・ヘンストリッジ |
|---|---|
| アイス・キューブ | |
| ジェイソン・ステイサム | |
| クレア・デュヴァル | |
| パム・グリアー |


