●こんなお話
南北合同で核兵器を極秘裏に開発していて、ごたごたの中タイムスリップして李舜臣と出会って侵略者たちと戦う話。
●感想
南北朝鮮が統一して、密かに核兵器を完成させているという衝撃的な導入から始まる物語。誰にも気づかれずにそんなことができてしまうという大胆な設定に驚かされつつ、物語は現代から過去へのタイムスリップものとして展開していく。主人公たちは過去の朝鮮半島へと飛ばされ、やがて朝鮮の英雄・李舜臣と出会うが、その時の李舜臣はまだ頼りない若者で、リーダーとは程遠い存在だった。
主人公たちは、歴史的に日本に勝利した名将・李舜臣を、未来から来た自分たちの手で育てようと試みる。敵として登場するのは中華の侵略者たちで、彼らとの戦いがメインの軸となっていく。途中、村人たちを軍事訓練して一緒に戦うという展開もあり、物語の後半はどこか「戦国自衛隊」を思わせるような雰囲気を漂わせていた。古代の戦場に現代の戦術と武器を持ち込むという、タイムスリップものの醍醐味が盛り込まれている。
主演を務める俳優陣をはじめ、全体としてキャストが豪華で、その組み合わせがひとつの見どころにもなっていました。南北の軍人が一緒に作戦を遂行するという設定の中で、コメディタッチのやり取りが随所に織り交ぜられており、軍人同士の小競り合いや価値観の違いから生まれるズレもユーモアとして描かれていた印象です。
ただ、個人的には戦闘面の描写にもう一歩踏み込んでほしかった気持ちもあります。登場する現代兵器は自動小銃程度で、戦車や航空戦力といった派手なものは登場せず、過去と未来の戦力差を活かしたような戦術的な興奮はあまり感じられませんでした。その分、人間同士の駆け引きや対立に焦点が当てられていて、内容としてはドタバタ感の強い仕上がりだったと思います。
李舜臣の成長も、劇中でいきなり訪れる印象で、どこか急展開のように感じられる部分もありました。序盤ではあまり頼りがいのない青年として登場していたのが、終盤ではリーダーシップを発揮する将軍へと変貌していて、その変化にもう少し時間をかけて寄り添いたい気持ちもありました。
現代に戻らず、過去に残って村人たちを守るという決断をするラストは、物語としては熱のこもった選択肢に見えましたが、そこも含めて淡々と進んでいく印象で、クライマックスの戦いにしても激しい銃撃戦はあるものの、感情面での盛り上がりにはもう少し欲しかったところです。とはいえ、タイムスリップものとしての楽しさや、架空の歴史を駆け抜ける冒険譚として、テンポよく楽しめる1本だったと感じました。
☆☆
鑑賞日:2020/08/19 DVD
監督 | ミン・ジュンギ |
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脚本 | ミン・ジュンギ |
出演 | パク・チュンフン |
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