●こんなお話
タイガースのベテラン投手が試合で投げながら恋人との思い出を回想する話。
●感想
腕に負傷を抱えたまま、相棒のキャッチャーに心配されながらも「黙ってろ」と一言だけ返し、主人公はホテルで恋人の姿を待っていた。だが彼女が告げたのは別れの言葉だった。さらに球団オーナーが現れて、移籍(トレード)を勧告してくる。そんな重たい気持ちを抱えながら、主人公はヤンキースとの大一番でマウンドに上がる。
現在進行形で描かれる試合と並行して、主人公はピッチング中に過去の恋愛の記憶を次々と思い出していく。
ヒロインとの出会いは、車が故障して困っている彼女を偶然助けたことから始まった。彼女を球場に誘い、試合を見に来てもらったが、他の選手の妻たちから「今度はこの人ね」と冷たく言われて、ヒロインは嫌な気持ちに。その後、ヒロインの娘と出会い、打ち解けて仲良くなったり、ヒロインとの間で喧嘩をしたりと、関係は山あり谷あり。
ある日、彼女が主人公の家を訪れると、別の女性がいてまた大きな喧嘩に。関係が一度は途切れかけるが、やがて再び近づいていく。DIY中に腕を切ってしまうというアクシデントもあり、身体的にも精神的にもボロボロになりながら、それでも彼女との絆を深めていった。
一方、現在の試合では、主人公が次々と打者を抑えていき、気づけば完全試合の可能性が見えてくる。彼は「ノイズ除去」と自ら呼ぶ、周囲の歓声を完全にシャットアウトする集中力を時おり発動させながら、自分自身との戦いを続ける。打者との対決では独り言をつぶやきながらも、心は冷静。
そして迎えた9回。さすがに疲れが見え始めた主人公は相棒のキャッチャーに弱音を吐くが、相棒が静かに励まし、彼を奮い立たせる。そして、最後の打者は、父親と因縁があるルーキー。彼を見事に打ち取り、完全試合を達成する。
試合後、主人公はヒロインが向かっている空港へ急ぎ、ふたりは再会して強く抱きしめ合い、物語はおしまい。
現在と過去を交錯させながら描く構成が新鮮で、野球映画でありながら恋愛映画としても楽しめました。モテモテの主人公が、なぜヒロインだけに心を寄せるようになったのかが少し分かりにくかったですが、それでも彼らを自然と応援したくなる、温かい気持ちになれる作品でした。
☆☆☆
鑑賞日:2024/01/19 DVD
監督 | サム・ライミ |
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脚本 | ダナ・スティーヴンス |
原作 | マイケル・シャーラ |
出演 | ケヴィン・コスナー |
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ケリー・プレストン | |
ジョン・C・ライリー | |
ジェナ・マローン | |
ブライアン・コックス | |
ジェイ・ケイ・シモンズ | |
ヴィン・スコリー | |
スティーヴ・ライオンズ |