ドラマ【フィアー・ザ・ウォーキング・デッド シーズン1】感想(ネタバレ):ゾンビが迫る日常の変化を丁寧に描いたドラマシーズン1

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●こんなお話

 ドラマ【ウォーキング・デッド】の世界が始まる前の話。

●感想

 学校の先生である主人公と、その恋人の男性が暮らしています。主人公には息子がいるのですが、彼は麻薬に手を出してしまい、問題を抱える存在です。さらに姉もいて、その彼女には恋人がいます。恋人の男性には元奥さんと子どもがおり、ときどき会いに行く関係です。

 ある日、長男が目覚めると、恋人が人を食べているのを目撃してしまいます。彼はすぐに周囲の人々に知らせるのですが、誰も信じてくれません。その頃、ニュースでは病人が人間を襲っているという情報が流れ、不穏な空気が漂い始めます。息子は麻薬の売人と揉めて殺してしまい、その現場に両親が駆けつけると、死体がまるで動いているかのような異変を目撃し、息子の言葉を信じ始めることになります。

 やがてゾンビ化が拡大し、彼氏は暴動に巻き込まれますが、避難先のお店の方のもとへ逃げ込み、主人公の家へ一緒に戻ることに。隣人のおばあさんもゾンビ化し、逃げようとしたところを軍隊に制圧されてしまいます。

 軍隊は周囲をフェンスで囲み、安全な生活区域を確保しますが、住民たちは次第に軍隊が住民を見捨てて逃げようとしていることを察知します。家族が隔離施設に連れて行かれたため、主人公たちは救出に向けて奮闘します。

 クライマックスでは、主人公たちがゾンビの大群を軍の基地に乱入させ、その混乱の中で息子や母親を見つけて助け出す姿が描かれます。避難先のお店のご主人の奥さんは病気で亡くなり、息子は富豪の男性とともに彼が持つ船を目指して逃げ出します。一方で、彼氏の元奥さんがゾンビに噛まれていたことが判明し、彼女は自ら命を絶つという切ない展開もありました。

 物語は三つの家族を中心に進行し、次第にゾンビ化する人々が増えていく中で、日常が非日常へと変わっていく様子が丁寧に描かれています。家族のためならば、どんな手段も辞さない人間の逞しさと、時に見える怖さを垣間見ることができ、非常に興味深い内容となっています。

 ただ、終末世界が完全に始まっていないため、登場人物たちの緊張感にやや欠ける部分があり、行動に疑問を抱くシーンも散見されました。たとえば、軍隊が収容した人々を救うために、スタジアムに集まったゾンビを軍隊に向けて放つ場面はかなり大胆で、その結果、軍人だけでなく隔離されている病人たちも危険にさらされてしまうのではないかという心配が生まれました。短期的には成功しても、感染がさらに広がる可能性もあり、戦略の是非を考えさせられます。また、全6話という尺にしてはテンポがゆったりしている印象があり、ゾンビドラマでありながら、ゾンビがまだ本格的に登場しないため、物語の盛り上がりやカタルシスが控えめだった点も特徴的でした。

 このように、ゾンビの世界が本格的に訪れる前の緊迫感や日常の変容をじっくりと楽しめる作品となっており、今後の展開に期待が高まるシーズン1であると感じます。

☆☆☆

鑑賞日: 2016/10/21 Amazonプライムビデオ 2023/06/21 Amazonプライムビデオ

出演キム・ディケンズ
クリフ・カーティス
フランク・ディレイン
アリシア・デブナム・キャリー
ロレンツォ・ジェームズ・ヘンリー
エリザベス・ロドリゲス
ルーベン・ブラデス
メルセデス・マソーン
パトリシア・レジェス・スピンドーラ

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