●こんなお話
あんまり冒険している感のないドラゴンクエストの話。
●感想
ゲームをプレイしていない立場から見ると、冒頭で「ドラゴンクエスト」のゲーム画面を使って登場人物紹介がされ、そのまま映画の世界に入る展開は少し戸惑いました。主人公たちが再会するシーンがあっても、感動が湧かず物語に感情移入しにくかったです。
冒険活劇としての面白さを期待していましたが、物語は全体的にトントン拍子に進み、冒険の仲間たちが知恵や勇気、経験を活かして困難を乗り越えていく過程がほとんど描かれていないと感じました。例えば「天使がいるから」といきなり言われ、すぐに巨大ロボットの試練を突破し、その後に「あなたの勇気を試した」「過去に行きなさい」と突然言われて過去へ飛ぶ展開など、ゲームを知っている人には速いテンポかもしれないですが、ゲーム未経験者には何が起きているのか理解しづらいです。
前半では主人公が二人のヒロインと再会しますが、その感情描写が薄いため何も感じられないです。しかも主人公は最初のヒロインに告白した直後に別のヒロインに気持ちが移り、告白し直すという流れは、告白された側から見るとただの浮気男に映るかもしれず、戸惑う展開。占いおばあさんが魔法のような力を使う場面も、その理由が不明瞭で理解しにくいです。魔法が簡単に使える世界観で、苦労して覚えたりレベルアップしたりというRPGらしい要素がほぼなかったのも残念でした。主人公が誰に告白するか悩むシーンに時間をかけている割に、全体として退屈に感じる部分も多かったです。
さらに主人公が石化されてから8年後に息子と再会するシーンも、感情の動きがほとんどなく、あっさり認め合って次の場面へ移るため、CGキャラクターの無表情さが目立ちました。そこから敵の本拠地に急展開で乗り込むため、早いテンポに戸惑いながらも上映時間は長く感じられました。
ラスボスと思われたキャラクターの意外な正体が明かされる変化球展開も面白そうですが、その前段階が退屈すぎて興味が薄れてしまい、無表情なキャラクターたちが淡々と物語を進めていく印象でした。CGキャラクターの演技も大げさで子ども向けに振り切っているため、見ていて疲れてしまう動きが続きました。
せっかくすぎやまこういち御大が手がけた感動的な音楽も、ゲーム未経験者にとっては活かしきれていないのがもったいない作品でした。
☆
鑑賞日: 2019/08/22 チネチッタ川崎
総監督 | 山崎貴 |
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監督 | 八木竜一 |
花房真 | |
脚本 | 山崎貴 |
原作 | 堀井雄二 |
出演(声) | 佐藤健 |
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有村架純 | |
波瑠 | |
坂口健太郎 | |
山田孝之 | |
ケンドーコバヤシ | |
安田顕 | |
古田新太 | |
松尾スズキ | |
山寺宏一 | |
井浦新 | |
賀来千香子 | |
吉田鋼太郎 |
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