●こんなお話
お屋敷の娘さんのもとにチャッキーが送られてきて、家族を惨殺していく話。
●感想
母親と二人暮らしをしている車椅子の主人公のもとに、ある日、身に覚えのない差出人からチャッキー人形が届けられる。どこか不気味な笑顔を浮かべるその人形。最初は不審に思いながらも深く気に留めなかったが、その夜を境に事態は急変していく。屋敷の中で起こる不可解な物音。主人公が異変に気づいたときには、すでに母親が何者かによって殺されていた。
母の死をきっかけに、久しく連絡を取っていなかった姉とその夫、娘、さらにはベビーシッターや神父が屋敷に集まり、今後の生活について話し合いが始まる。姉はこの機に屋敷を売却して資金を得ようと考えているが、それに強く反発する主人公。母とともに大切にしてきた空間を手放すことなど、簡単には受け入れられなかった。
その夜、主人公はみんなに料理をふるまう。だが、その裏ではチャッキーが密かに行動を開始していた。台所に忍び込み、料理の中に殺鼠剤を混入し、誰がそれを口にするか、観客としても息が詰まるような時間が続く。そして神父が帰宅の途中で急変し、車の事故に巻き込まれる。事故とは思えない奇妙な状況。やがて、チャッキーの仕業であることが少しずつ明らかになっていく。
屋敷内では、さらに複雑な人間関係が浮き彫りになる。実は姉とベビーシッターが交際していて、それを夫が察していたり、娘がチャッキーと仲良くなろうとするが、当然のようにチャッキーは子どもに対しても下品な言葉を投げかける。チャッキーの言動がじわじわと家族の間の空気を壊していき、やがて緊張が恐怖へと変わっていく。
娘が突然姿を消し、屋敷の中では次々と殺人が起きていく。ある者は目玉をくりぬかれ、ある者は斧で下半身を切断されるというショッキングな展開。狭い屋敷内という閉鎖空間が、不安を一層あおっていく。主人公自身も負傷し、逃げ場を失った状態でチャッキーと対峙する。そしてついに、チャッキーが自身の過去について語り出す。
彼の言葉から、主人公の母親とチャッキー(かつての殺人鬼)が面識のあったこと、さらには母が臨月の時に襲われ、お腹に刃物を刺されたことで主人公が障害を負ったという事実が明かされる。チャッキーのかつての姿である殺人鬼が、いかにしてグッドガイ人形の中に「宿る」ことになったのか──その過去が、ここであらためて説明されていく。
物語の大部分はこの古い屋敷の中だけで進行していきますが、その分、空間の閉鎖感や暗がりの使い方が巧みで、まるで自分自身がその場にいるような気持ちになる恐怖演出が多く含まれていたと思います。特に停電の中、チャッキーの顔がフッと浮かび上がるシーンなどは、目をそらしたくなるような怖さがありました。
テンポもよく、ホラー映画としての見どころはしっかりありました。さまざまな登場人物が少しずつ減っていく中で、誰が次の犠牲者になるのかという緊張感も最後まで保たれていたように感じます。
ただ、序盤でチャッキーと交流を持っていた子どもが、終盤では物語からフェードアウトしてしまうように感じたのは少し惜しい部分だったかもしれません。また、殺人のバリエーションがあまり多くなく、後半は似たような展開の繰り返しに見えてしまったのも事実です。その点で少しだけ飽きを感じた場面もありました。
それでも、シリーズとしての背景を知っていると一層面白く観られる構成になっており、チャッキーというキャラクターの邪悪さとユーモアがしっかり生きていたと思います。コンパクトな舞台設定の中で、緩急の効いた演出と小さなサプライズが詰まった、見応えのある一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2022/06/24 NETFLIX
監督 | ドン・マンシーニ |
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脚本 | ドン・マンシーニ |
出演 | ブラッド・ドゥーリフ |
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フィオナ・ドゥーリフ | |
ダニエル・ビスッティ | |
ブレナン・エリオット | |
メイトランド・マコーネル | |
出演(声) | ブラッド・ドゥーリフ |