映画【無頼】感想(ネタバレ)

burai
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●こんなお話

 ヤクザとして成り上がっていく男と仲間たちの話。

●感想

 戦後の少年時代から青年期に始まり、父親との確執があり家を飛び出し高校生を恐喝したり愚連隊となってヤクザの兄弟分に言われて対立相手のヤクザを斬りつけて逮捕される。

 この序盤、子役の名前を覚えるのに必死で主人公が誰なのか捉えるのが大変でした。井藤正治といのが主人公というのがだんだんわかっていきます。主人公には兄がいて。

 ニュースや新聞でその時代その時代の印象的な出来事が語られていきます。力道山の活躍やケネディ大統領暗殺。主人公の前半生は刑務所と出所の繰り返しでほとんど刑務所で過ごす。獄中で兄の計らいで北陸の虎の異名を持つヤクザと兄弟盃をすることになる。

 この北陸の虎のヤクザさんは劇中で【北陸代理戦争】みたいなちょっと違うような映画を見ていて、あのヤクザさんがモデルなのかな? とか。のちに主人公の顧問だかとして登場する人物も民族主義者で選挙にも出るけどマスコミに揶揄とかされて、テレビ局に乗り込んで自決…。というのとかも有名な人物をモデルにしているのかな? という楽しさはありました。後は、冷たくなった銀行に対して糞尿をあまき散らすというのを映像で見られて面白かったです。

 ただ大量に出てくるヤクザたちの名前と顔、役職みたいなのが最初はわからず。対立しているのか親睦があるのかとかどういう関係性なのかわからないままお話が進行していくようで、集中して見ていても誰が何をしているのかというのがわからず、ボーっとする時間が多かったです。

 特に主人公が何しているのかわからず、基本、ジャージ姿でうろうろしているのしか印象に残らずで、あとは愛人ができて奥さんにバレて…というのが繰り返されてました。

 刑務所から出て頑張る主人公と仲間たちだけど、親分が射殺されたので他の親分と杯を交わしてパックアップしてもらう。その親分が引退するので新しい「六法全書、読み込んでるんじゃ!」と警察にすごむ親分が就任するけど、その人も射殺されちゃったりで、主人公の親分たちみんな殺されちゃいます。

 対立相手に報復のためにトラックで機動隊が警備する中、突っ込んでダイナマイト投げるの失敗したり銃弾がお隣の外国人の家に流れ弾が行ったりして、それの修理費を警察かヤクザどっちで払うのか揉めたりします。

 その時代その時代のヤクザのシノギみたいなのが次から次に描かれて行って、見世物興行みたいなので有名人を呼んで虎とか熊とか猛獣を戦わせようとして、全然やる気なく戦わない猛獣たちに困るヤクザ、とか。レンタルVHSの時代に海賊版が勝手に出されてるとなったり90年代になると経済ヤクザ化していったりするのは面白く見れましたが、それもエピソードの羅列みたいになっていて、お話としての面白さがあまり感じられないのが残念でした。

 実の兄が余命いくばくもなくお別れをしたり、ヤクザの締め付けが厳しくなってきたのでだんだんとみんな生きるのが大変になっていく後半。東南アジアを旅した時のことが印象に残り、引退を決意する主人公。引退パーティーをして、みんな笑顔という。

 少年時代から60歳までの男の人生が140分あっという間に過ぎていって、かつ群像劇でもあるのでエピソードが羅列されていくだけでちょっと駆け足な展開で、はみ出し者たちの生き様死に様にしみじみとはなりましたが、退屈な時間も多い映画でした。

☆☆☆

鑑賞日:2022/03/17 WOWOW

監督井筒和幸 
脚本佐野宜志 
都築直飛 
井筒和幸 
出演松本利夫
柳ゆり菜 
中村達也 
ラサール石井 
小木茂光 
木下ほうか 
升毅 
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