映画【手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく】感想(ネタバレ)

buddha
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●こんなお話

 シッダールタが厳しい階級社会にもまれる話。

●感想

 冒頭から2500年前の猛吹雪の中を裸のおじいさんが歩いていて、獣たちがおじいさんを助けるという衝撃のオープニング。何で猛吹雪のなかをほぼ裸で歩いてるのか謎の出だしでした。

 奴隷の生活から抜け出したいチャプラという男と王国のもとに生まれたシッダールタという男の2人の人生を交互に描いていく内容でしたが。
 一体、何を描きたかったのかがよくわからなかったです。チャプラという青年はこの当時の理不尽な奴隷制から抜け出そうと、偶然助けた将軍の息子として生きて成り上がっていく。この成り上がりたいという気持ちは十分理解できますし、貧困で次々と赤ん坊が死んでいく様子はつらいのはわかります。だからといって、このチャプラが物語上何の意味があったのかがわからなかったです。

 シッダールタという人物が、後のブッダになる人物らしいのですが。チャプラと全く関係のないエピソードがブツブツになってしまっているように思えました。
 そしてこのシッダールタという男も、王子さまとして生まれたけれど。自分の無力さに打ちのめされて、自分に何ができるのか? 自分ができる最善の事は何なのか? と考えるのが目的だと思いますが、悟りを開く前の悩んでるときなのにピカー! と体から光が出て自分への攻撃をかわしてしまったり。いつの間にパワーを手に入れたんだと。

 そして10分に1回は同じような音楽がパラーンと入る演出がくどくて体感時間を長くしてくれました。

 バンダカといういかにも悪役な男も、どうしてあのタイミングで謀反を起こしたのかわからないし。だったらもっと早く謀反を起こしてもいいんではないのか? 国王に「私を王にしろ!」と迫る謀反もうまいこといくわけがないと思いました。その退場の仕方も急すぎて凄かったです。
 吉永小百合さんがチャプラの母親役をやっているんですが、物語のナレーションもやっていて、一体どこからのナレーションをやっているのか戸惑いました。

 細かい突っ込みどころはたくさんあって、他にもシッダールタが生まれるときに王妃が運ばれますが、それが物凄いでかいベッドのまま運ばれるという。馬車的なのはないのか。しかも結局「城へ戻れー」と戻っちゃうし。何のための移動だったんだという。

 チャプラとチャプラの母が処刑されそうになる崖がものすごい断崖絶壁。そこから落ちる2人が地面に激突するときの音がパサっという軽い音。
 そして1番わからなかったのはタッタという男の子で、時間が1人止まっているという。ただ超能力の持ち主なので年をとらないのかもしれないですが、そこの説明もなく。

 そしてどこが【赤い砂漠よ!うつくしく】なんだろう? とわからないことだらけの映画でした。

 この映画を見て結局何を感じればいいのかがわかりにくく、ディテールの突っ込みどころばかりが気になってしまう映画でした。

鑑賞日:2012/11/19 DVD

監督森下孝三 
演出古賀豪 
脚本吉田玲子 
原作手塚治虫
出演(声)吉永小百合 
堺雅人 
観世清和 
吉岡秀隆 
吉永小百合 
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