●こんなお話
ソ連のスパイがアメリカで捕まって死刑確実な流れだけど、それの弁護につくことになった弁護士の交渉劇の話。
●感想
物語はソ連のスパイの日常と、それを追うCIAの動きからスタート。スパイ活動が露見し、逮捕されるという展開。そして、主人公の弁護士はもともと保険関係専門だったのに、突然上司からそのスパイの弁護を頼まれることに。国民感情は敵意むき出し、裁判長も「有罪ありき」で進めようとする中、主人公は四面楚歌の状態で孤独に立ち向かう。
裁判と並行して、ソ連上空を偵察飛行するアメリカのパイロットの姿も描かれ、徐々に物語が大きく広がっていく。全体は140分の会話劇中心ですが、各国の思惑が絡む交渉劇がテンポよく進み、緊張感に引き込まれ ました。
前半はスパイの弁護、後半はソ連に捕らわれたパイロットと、東ドイツに拘束されたアメリカ人学生をどう取り戻すかという人質交渉のドラマへ。アメリカ、ソ連、東ドイツそれぞれの思惑がぶつかり、ハラハラさせられる展開が続く中でも、ところどころにユーモアがあって、ニヤリとさせられる場面も多かったです。
主人公の内面は多くを語られないけど、彼の行動から伝わる誠実さがどんどん伝わってきて応援したくなるものでした。そして、しだいに心を通わせていくソ連のスパイにも自然と感情移入できるのがお見事。
ただ、クライマックスの1対2の人質交換については、もう少し無理な状況からの逆転や工夫された交渉の過程が描かれていたら、もっとカタルシスがあったかもと考えてしまったり。全員が「2人救出は無理」と言っていたのに、意外とスムーズに交換が成功するので、そこに少し物足りなさを感じました。
とはいえ、実話がベースで結末が分かっているにもかかわらず、人質交換のシーンではしっかりと感動できましたし、140分間ずっと楽しめました。最後にクレジットで語られる「その後キューバで数千人を救出」という話が紹介されますが、むしろそっちの方を映画化しても面白いんじゃないかと思わせるほど、可能性を感じる映画でした。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2016/01/14 TOHOシネマズ川崎 2016/08/23 Blu-ray
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
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脚本 | ジョエル・コーエン |
イーサン・コーエン |
出演 | トム・ハンクス |
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ピーター・マクロビー | |
アラン・アルダ | |
イヴ・ヒューソン | |
エイミー・ライアン | |
オースティン・ストウェル | |
マーク・ライランス | |
ゼバスチャン・コッホ | |
スコット・シェパード | |
ウィル・ロジャース |
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