ドラマ【ベター・コール・ソウル シーズン4】感想(ネタバレ):ジミー、ソウルへの道 それぞれの選択が交錯する第4シーズン

Better Call Saul Season 4
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●こんなお話

 相変わらず何とか生き抜こうとするジミーやそれに付き合うキム、裏稼業が忙しくなるマイクたちの話。

●感想

 前シーズンで重要人物が物語から離れていったばかりということもあり、その喪失がどう物語に影を落とすのかという興味もあったシーズンの始まり。物語は、その喪失を背負った主人公ジミー・マッギルの姿から始まる。ただ意外なことに、落ち込んでふさぎ込む様子はあまり見られず、むしろ彼なりの前向きな行動が続いていく。

 弁護士資格を失い、無職となったジミーは、あの手この手の話術を駆使して新しい職を探し始める。自分の売り込み方を知っている彼は、面接でも印象的な立ち回りを見せ、すんなり採用されそうになるが、結果的にはそのチャンスを自ら断ってしまう場面も。ケータイを売ってその場しのぎの商売をしたり、ケータイ屋で働いたりと、必死に糊口をしのぎながら、弁護士として再出発する道を模索していく。

 一方で、キムとの関係性も徐々に揺らいでいく。支え合ってきたパートナーではあるけれど、ジミーの立ち直り方や行動がキムの価値観とすれ違いを生んでいき、2人の間に小さな亀裂が浮かび上がってくる。その緊張感もまた、丁寧に描かれていて、観ていて自然と感情が動かされました。

 裏社会のパートでは、マイクがガスと手を組み、【ブレイキング・バッド】につながる重要な仕事を進め始める。ガスの秘密基地となる地下施設の建設がいよいよ始まり、ドイツから招いた技術者たちとの交流が静かに描かれていく。中でもリーダーとなるドイツ人技師とのやり取りには、マイクの人柄や立場の難しさが色濃く出ていて印象的でした。

 やがて、技師が奥さんに会いたいと願い出たことをきっかけに、現場の空気は変化していく。一歩間違えば計画が台無しになりかねない状況に、マイクも対応を迫られていくことになる。この一連の展開はとても丁寧に積み重ねられていて、最終話の、どうすることもできなくなってしまう悲しみが胸に迫ってきました。

 ナチョはナチョで、ヘクター・サラマンカに仕掛けた罠がガスに知られてしまい、どちらにも命を握られたような立場で生き延びようと必死になります。この緊張関係のなかで、誰を信じて動けばいいのか迷いながらも、少しでも生きる可能性を模索する姿が描かれていきます。

 そしてジミーは、弁護士資格を取り戻すために誠実さをアピールしなければならない局面に直面します。彼なりの戦略と話術を駆使しつつも、いつになく素直な言葉を口にする場面もあって、そこには彼の中の本音と計算が複雑に混ざり合っているようにも見えました。最終的にはソウル・グッドマンとしての新たな一歩を踏み出していく過程が描かれ、「すべてよし」へとつながる準備が整っていく。

 物語としては、相変わらず次から次へとトラブルが訪れて、それをどう突破していくのかを観る面白さがしっかりあって、それぞれのキャラクターの持ち味が存分に発揮されていたシーズンだと感じました。静かな日常の中に危険な香りが忍び寄るような演出や、細やかな心理のやり取りが重ねられていく展開は今回も見ごたえがありました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2020/09/02 NETFLIX

出演ボブ・オデンカーク
ジョナサン・バンクス
ルイス・ボルドナダ
ヴィンセント・フエンテス
レイ・シーホーン
ダニエル・モンカダ
マイケル・マンドゥ
ジャンカルロ・エスポジート
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