●こんなお話
スーパーマンが活躍すると街が破壊されちゃうので、バットマンがスーパーマンを止めようとしたり怪物が現れたりする話。
●感想
ザック・スナイダー監督の作品らしい映像表現の凝り具合がひときわ目を引きました。特にスローモーションの使い方が印象的でありながら、その一方で次々と繰り広げられる大規模な爆発シーンや派手なアクションが、まさに迫力満点の映像体験をもたらしていました。中盤の、スーパーマンに対抗するために装備を整えたバットマンとの激しい戦いは、見応えがあり心躍る場面でした。
しかしながら、物語全体は暗く重苦しい雰囲気が漂い、登場人物たちが皆悩みを抱え、眉間にしわを寄せながら話す様子が続きます。映像も暗めで陰影が強く、約150分の上映時間が予想以上に長く感じられました。盛り上がりどころとなるアクションシーンも後半に集中していますが、暗い映像のなかでひたすら爆発が繰り返されるため、視覚的には少々単調に映り、集中力が切れてしまうこともありました。
物語の核となるのは、バットマンがスーパーマンの弱点であるクリプトナイトを入手しようと試みるところで、その背後にはレックス・ルーサーの影が見え隠れします。レックスは自らの企みとして、スーパーマンの弱点を利用し彼を止めようと動いています。一方、スーパーマンも自身の葛藤に揺れており、両者の関係性が複雑に絡み合って進んでいきます。
ただ、シリーズ作品の一部であるためか、この作品単体ではわかりにくい部分も多く、バットマンに夢の中で助言する人物やデビルのような存在、さらには突然登場するアマゾネスなどのキャラクターが何者なのか、謎のまま終わってしまった印象を受けました。こうした点から、シリーズの前後作を知らないと理解が難しい部分が散見されます。
また、タイトルに掲げられたバットマンとスーパーマンの戦いも、共通の敵が現れるとあっさり和解する展開には少々戸惑いました。ヒーローたちが「お母さんが大切」というテーマを持っていることは興味深かったものの、なぜバットマンがその居場所を知っているのかという疑問も浮かびました。さらにクライマックスではバットマンの活躍がやや控えめで、未知のアマゾネスが活躍する様子に驚かされました。
スーパーマンの恋人が、弱点の槍を一度水に捨てたかと思えばまた取りに戻るといった行動は、意図が掴みづらく、ついツッコミながら観てしまう場面でした。彼女の存在意義についても謎が残ります。最終的には怪獣映画のような大迫力の戦闘シーンに展開しますが、暗く見づらい映像のため、何が起きているのか把握しづらい部分がありました。
物語の進行に関しては、冒頭からスローモーションの多用によって話がなかなか前に進まないため、ゆったりしたペースに退屈さを感じることもありました。加えて、夢オチの繰り返しや分かりにくい展開も観る者の入り込みを阻む要因となっています。
それでもなお、人気ヒーローたちが同じ画面に登場するだけで、ファンにとっては十分に楽しめる作品と感じました。映像の美しさや迫力は確かなものであり、シリーズ全体の一部として位置付けると、その価値が見えてくる映画であると考えます。
☆☆
鑑賞日: 2016/03/25 TOHOシネマズ川崎 2016/09/08 Blu-ray 2020/10/08 NETFLIX
監督 | ザック・スナイダー |
---|---|
脚本 | クリス・テリオ |
デビッド・S・ゴイヤー | |
原作 | DCコミック |
製作総指揮 | クリストファー・ノーラン |
出演 | ベン・アフレック |
---|---|
ヘンリー・カヴィル | |
エイミー・アダムス | |
ジェシー・アイゼンバーグ | |
ダイアン・レイン | |
ローレンス・フィッシュバーン | |
ジェレミー・アイアンズ | |
ホリー・ハンター | |
ガル・ガドット |
コメント