●こんなお話
脚本家を目指してシャカリキに頑張る34歳の女性主人公と口では凄いこと言うけど実際何もしないビッグマウス君が喧嘩しながらもお互い脚本コンクール受賞を目指して頑張るという話。
●感想
夢に向かって頑張る人の危機感や焦りがこれでもかと描かれていて、見ていて辛いことこの上ないストーリーでした。脚本家を目指す人たちという映画のバックステージ物の面白さとしても十分面白い映画だと思いました。
そしてその世界の中で、頑張ってるのに報われない。夢と現実の違い。ならどこで折り合いをつければいいのか?
いろんな事を吸収しようと本もたくさん読むしいろんな人の話を一言一句メモを取って頑張るばしゃ馬な気持ちもわかるし、周りが書くもの全否定して「自分が書けば簡単に賞を獲れる」とか話す人の気持ちも十分わかる。
そして地元の友だちの結婚式で「夢、目指して凄いね。映像になったら絶対見るね」と上辺だけかもしれないけど羨望の眼差しで見られる。「全然すごくないよ、私なんて」という台詞が凄くわかってこれも見てるのが辛い。
主人公の元カレさんがとても良いポジションの役割で、役者を目指してたけど。今は介護士として頑張っている。
主人公が「夢をかなえるのは難しいけど、夢を諦めるのはもっと難しい」と長回しで涙ながらに語るシーンは、涙なくして見られなかったです。
ビッグマウスくんは「自分はやろうと思えばやれる」と言いながら、パソコンの前に座ると一文字も書けない。この生み出す苦労というのもめっちゃわかります。テレビつけっちゃったり。
そして一次審査も通らず、ヘンテコな声出しながら商店街を全力疾走したくなる気持ちも凄くわかる。落選の辛さ。
あれだけ喧嘩してた2人がお互いを認め合い最後にコンクールに向けてシナリオを書いて結果。その後、ここの演出も悲しいったらなかったです。ピアノの旋律も印象的な音楽で雰囲気を盛り上げてよかったです。
吉田監督作品らしくちょこちょことした笑いが入ってきて面白いですが、主人公たちが会話している背後とかでいろんな動きをしてたりするので会話に集中できないのが難点でした。
それにこの映画の答えは、映画らしいっちゃ映画らしくて。この主人公は帰れる場所はあるからいいけど、帰れる場所がない人は夢を諦めるかどうするかの岐路に立ったときどうしたらいいのだろう? とも思いました。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2013/11/14 立川 CINEMA CITY
監督 | 吉田恵輔 |
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脚本 | 吉田恵輔 |
仁志原了 |
出演 | 麻生久美子 |
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安田章大 | |
岡田義徳 | |
山田真歩 | |
清水優 | |
秋野暢子 | |
松金よね子 | |
井上順 |