●こんなお話
小説家がスパイ組織同士の戦いに巻き込まれていく話。
●感想
スパイがダンスホールで謎の美女と出会い、2人で優雅にダンスを踊る。しかし美女のある合図で空気が一変。なんと会場にいる全員がスパイに銃を向け、一気に命の危険に晒される。外で待機していたハッカーのサポートを受け、何とかその場を脱出。逃げる美女を追跡し、相棒の助けで彼女を捕まえて話を聞き出すと、驚くべきことに彼女も自分と同じボスの指令で動いていたと知る。
スパイの情報が詰まった極秘ファイルを追って、舞台は香港へと移る。しかしこれは小説の世界。作者による朗読会が開かれており、聴衆の前で「続編にご期待ください」と語るシーンに切り替わる。作者は母親に新作を読んでもらい、続きを書こうとするがまったくアイデアが出ない。思い立って母に会いに列車に乗ると、そこに現れた自称ファンの男に話しかけられる。ところが突然、複数の男たちが襲ってきて混乱状態に。ファンの男が戦ってくれ、2人はパラグライダーで逃げ出す。
ファンだと思っていた男は実はリアルなスパイで、主人公が書く小説はすべて実際の出来事を元にしたものであり、組織はその情報の出所を突き止めるために主人公を追っているという。失われた「マスターファイル」を巡り、交渉予定だったハッカーとの手がかりを得るためにロンドンへ向かう。
ロンドンではハッカーの家に隠されていた「ログブック」を発見し、情報を入手。スパイの家で一息つこうとすると、彼が誰かと電話しながら「彼女を消すべきだ」などと話しているのを耳にして主人公は動揺。逃げるように母親のもとへ行くと、父親も現れるが、実は彼が組織のボスだと判明する。
ログブックを父親に渡すと、その場にスパイも現れて父親に銃を向ける。今度は母親が娘である主人公に銃を向け、事態は混沌。スパイが母を撃ち、父も倒され、主人公は両親を失ったと思い込む。
物語はフランスへ。隠れ家には元CIA長官がいて、マスターファイルと共に、主人公の過去を明かす。彼女は実は凄腕スパイだったが、記憶を失い、組織によって「作家」として偽の人生を歩まされていた。小説に現れる内容はすべて過去のスパイ任務だった。
ファイルの保管者である「アラビアの秘密の番人」と交渉し、ついにマスターファイルを入手。だがその中身を確認すると、主人公もまた組織の一員だった記録があり、衝撃を受ける。
組織が現れ、スパイを捕らえて元CIA長官の居場所を吐かせようとするが、彼は口を割らない。記憶が戻った主人公はスパイを撃ってしまうが、実は心臓の隙間を狙って生かしていたことが後に明らかに。2人で組織の本拠地に乗り込み、発煙筒が立ちこめる中、まるでダンスのように戦い、油の上を滑るスケートのようなアクションで暴れ回る。
洗脳した博士が現れて主人公の精神を支配し、スパイと戦わせようとするが、土壇場で博士を倒して正気に戻り、ファイルを元CIA長官に無事送信。全てを終えた主人公は、ついに作家としての平穏な日常へと戻っていっておしまい。
マシュー・ヴォーン監督らしい、カラフルでスタイリッシュなアクションはやはり見応えあり。クライマックスでの発煙筒アクションやスケート戦闘などは映像的に盛り上がりました。ただ、物語全体はややもたつきがあり、テンポの遅さが目立ちました。スロー演出の多用も冗長さに拍車をかけていた印象。記憶をなくしたスパイが自分の体の動きに驚く展開も既視感が強く、全体としてはやや退屈に感じました。
また、敵組織がドジばかりで強さが伝わらず、緊迫感に欠けるのも惜しいポイントです。スパイと主人公の恋愛要素も盛り上がりに欠け、全体的には長さだけが印象に残ってしまう1作でした。
☆☆☆
鑑賞日:2024/03/10 イオンシネマ座間
監督 | マシュー・ヴォーン |
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脚本 | ジェイソン・フュークス |
出演 | ヘンリー・カヴィル |
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ブライス・ダラス・ハワード | |
サム・ロックウェル | |
ブライアン・クランストン | |
キャサリン・オハラ | |
デュア・リパ | |
アリアナ・デボーズ | |
ジョン・シナ | |
サミュエル・L・ジャクソン |