映画【DUNE/デューン 砂の惑星】感想(ネタバレ):アートと超大作の融合!映像美と緻密な世界観で描く砂の惑星サスペンス

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●こんなお話

 めちゃ未来で皇帝の命令で砂の惑星に引っ越した一族が敵対する一族に攻撃されて王子とお母さんが逃走する話。

●感想

 砂の惑星アラキスに、皇帝の命を受けて新たに赴任してきたアトレイデス家。先遣隊との挨拶を済ませ、家族ごと移住し、惑星の資源である「スパイス」の採取を進めていく。巨大なサンドワームというクリーチャーの脅威にさらされながらも、生態系を学びつつ、徐々にこの地に馴染んでいく。

 主人公ポールは不思議な予知夢を見たり、母親から人を操る声の使い方などの訓練を受けたりする。一方で、敵対勢力であるハルコンネン家が襲撃の準備を進めており、物語は緊張感を帯びていく。夜、王である父親が眠っている間に敵の襲撃が始まり、迎撃するも圧倒され、父親は捕らえられてしまう。ポールと母も捕まるが、何とか逃げのび、砂漠をさまよった末に現地のフレメンと呼ばれる先住民と出会う。決闘を経て認められ、物語は「これから」に向かっておしまい。

 ハリウッドの超大作ながら、監督ドゥニ・ヴィルヌーヴの作家性が色濃く出たアート作品のような仕上がりで、映像の力強さと緻密な演出が印象的でした。世界中の名優が登場するのも見どころの一つだと思います。

 SFならではのディテールも面白く、羽が高速で羽ばたく独特の飛行機や、噛むことで毒ガスを発する装置など、細かい設定が映像に生かされていて楽しいです。とくにポールの母親が印象的で、突然手話を使ったり、人間を操る超能力を発揮したり、近接戦闘で圧倒的な強さを見せるシーンなど、説明抜きのパワー演出が斬新でした。

 とはいえ、ヴィルヌーヴ監督らしく、1シーン1シーンをじっくり描く構成のため、話の流れ自体は非常にシンプルで、引っ越し・襲撃・逃走というだけの筋にもかかわらず、眠くなるほどテンポが遅い印象。

 固有名詞が多く、地名、人名、用語などが次々に出てきて頭に入れるのが大変なのはSFとして避けがたい部分。ただ、それらを丁寧というよりは鈍重に描き、しかもこの映画単体では全容がわからないようになっているのは不親切に感じました。皇帝の存在が影で語られるだけだったり、なぜアトレイデス家が狙われているのかも明確な説明がないため、展開に対して感情移入しづらかったです。

 アクションシーンも、未来を舞台にしている割にナイフや剣で戦うという地味な戦闘が多く、映像の迫力はあっても、純粋なアクション映画としての熱量や高揚感には欠ける印象でした。居住地が襲撃される場面から、ポールと母親の逃避行パートは特にテンションが低く、長く感じました。

 ポールの予知夢も何度も繰り返され、逆光の中で少女がこちらを見るスローモーションなどが何度も使われるのは少々冗長で、観る側としては飽きが来てしまったり。

 この作品単体では、主人公たちが追い詰められる襲撃パートが最大の山場のようにも思えるが、その後の逃避行パートが長く、構成としてもややちぐはぐな印象を受けました。

 それでも、大物俳優たちが画面にいるだけで映像に華があり、敵側の親玉が毒ガスを天井にくっついて逃れるという奇妙な防御方法など、思わず笑ってしまうような場面もあって記憶に残る1作でした。

☆☆☆

鑑賞日:2021/11/24 シネマサンシャイン平和島 2024/03/10 Amazonプライム・ビデオ

監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ 
脚本エリック・ロス 
ジョン・スペイツ 
ドゥニ・ヴィルヌーヴ 
原作フランク・ハーバート 
出演ティモシー・シャラメ 
レベッカ・ファーガソン 
オスカー・アイザック 
ジョシュ・ブローリン 
ゼンデイヤ 
ジェイソン・モモア 
ハビエル・バルデム 
ステラン・スカルスガルド 
シャーロット・ランプリング 
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