映画【シン・オブ・アメリカ】感想(ネタバレ):銃声と秘密が交差する、田舎町の一夜の事件劇

American Siege
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●こんなお話

 ジョージアの田舎町で失踪事件を端に発して町の有力者が酷いことしてるのをもみ消そうとかする話。

●感想

 ある日、小さな田舎町にある一軒家に、銃で武装した3人組の男たちが突如として侵入する。家の中にいた住人を人質にとり、金庫を開けさせようとするだけでなく、そこにいた人々に対して、数年前に行方不明になった人物について問いただしていく。強盗だけが目的ではないようで、彼らにはこの家に隠されたある過去を暴きたいという思惑があったらしい。

 一方その頃、町の保安官は地元の有力者と面会中に事件の通報を受け、現場に急行する。どうやらこの保安官、犯人たちのことを以前から知っているようで、現場では緊迫感がありながらもどこか言葉を交わす余裕もある。やがて町の有力者が自らの判断で民兵を現場に送り込むことになり、そのタイミングで銃撃戦が勃発。保安官の助手も現場に入り込むが、逆に捕まってしまう。

 その助手は、失踪事件の背後に有力者である自分の父親が関わっていることに気づき、真実を告発しようとする。だが、その試みは父親自身によって阻まれ、命を落とすことになる。さらには、失踪した女性がこの町の麻薬密造のきっかけを作ったことや、彼女がその後に口封じで殺されたという話も語られていく。そして再び銃撃戦。現場に戻った保安官は、暴走する民兵たちを一掃し、有力者に銃口を向ける。最後には、有力者も倒され、犯人たちはその場から逃げ出して物語は終わる。

 物語は冒頭から説明を一切省いた形で始まり、まるで連続ドラマの中盤から唐突に再生ボタンを押されたような感覚になりました。登場人物同士の関係性がすでに出来上がっている状態から物語が進んでいくので、誰が誰で、何が起きていて、どういう背景なのかというのを飲み込むのに少し時間がかかりました。ごく普通の一軒家に、突然重武装の集団が乗り込んでいくという出だしも、驚きはありましたが、背景の説明が少ないため戸惑いもありました。

 また、ブルース・ウィリス演じる保安官が、町の有力者にクビを言い渡されたあと、とぼとぼ歩いていたはずが、急に民兵の襲撃に気づいて現場に戻り、戦闘に参加していく姿も、何が彼の中で変わったのかが描かれず、その行動の流れが理解しづらかった印象です。

 強力な戦力として登場する民兵たちも、何やら勢いよく突撃していく割に、あっという間に全滅してしまい、緊張感よりも拍子抜けしてしまいました。設定としては、田舎町を牛耳る有力者たちが裏で麻薬製造に関わっているという構図なのですが、その実態を暴いていこうという登場人物たちの思いや信念が、ストーリーの中でしっかり伝わってくるというよりは、断片的に語られるだけだった印象です。

 俳優陣の存在感や銃撃シーンの迫力は見どころだったと思いますが、それぞれの登場人物の動機や背景が明確に描かれていたら、さらに物語に入り込めたのではないかと感じました。

鑑賞日:2023/02/21 WOWOW

監督エドワード・ドレイク 
脚本エドワード・ドレイク 
出演ブルース・ウィリス 
ティモシー・V・マーフィ 
ロブ・ゴフ 
ヨハン・アーブ 
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