映画【空気人形】感想(ネタバレ)

airdoll
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●こんなお話

 心を持ったラブドールの諸々の話。

●感想

 1人の中年男性が電車に乗っていて家に帰宅。誰かとおしゃべりしている様子、けども相手はダッチワイフ。そのダッチワイフが心を持って街をさまよって、いろんな人たちの様子を眺めて学んでいきます。

 レンタルビデオ店に入ってそこで働くことになって店長や先輩、様々なお客さんと知り合っていく。先輩とデートしたりして交流。ある日、身体に穴が開いて空気が抜けてしまって、空気を先輩が入れたり。持ち主が別の人形を持ったことにより家を飛び出す主人公。自分が心を持った理由を知りたくて自分を作った人形師のもとを訪ねたりして、先輩の家で空気を抜いたり入れたりを繰り返して同じことを先輩にやろうとして…。そして今日もいつも通りの日常が繰り返されていくという。

 何と言ってもペ・ドゥナさんの存在感が素晴らしくて、心を持った人形を演じていますが、最初から最後まで人間ではなく完全に人形に見えていたのが人間になっていくのが凄いです。動きや表情、仕草、片言の日本語というのもプラスになっていたと思います。

 心を持った人形が、中身がからっぽだから何とか心を埋めようとする話でダッチワイフの持ち主の板尾創路さんとレンタル店の店員で主人公が好きになるARATAさん。
 ダッチワイフなので性欲処理としての絡みのシーンがありますが、そこと主人公の空気が抜けてARATAさんが空気を口で入れるシーンが対比として描かれますが。後者のほうが主人公は恍惚の表情を浮かべてエロチックです。空気が入るという行為が、好きな人の息で身体の中かいっぱいになるという心の満足感。主人公は心が空っぽだとわかっているから、肉体的な満足より精神的なものを求めているのがわかります。

 主人公の持ち主は他のダッチワイフを買って主人公は押し入れに押し込めて使わなくなり、自分が何なのかと存在に悩んだときに。自分を作った人形師に会いに行きます。
 オダギリジョーさん演じる人形師は暖かくすべてを包み込むような応対をします。主人公を作った父親としての存在。オダギリジョーさんもわずかな出演時間でしたが印象に残る役でした。
 人形師に勇気づけられた主人公は、ARATAさんに告白して、空気の出し入れをする。ここのシーンは絡みのようなシーンで、そしてそのせいでこの時に主人公はARATAさんを人間だというのを忘れてしまったのか、クライマックスである悲劇。存在理由をなくしてしまった主人公。ラスト、拒食症の女性が窓の外を見て、横たわる主人公を見て「綺麗」とつぶやきます。それは、オダギリジョーさんが言っていた「戻ってきた顔を見ればその人形が幸せだったかどうかは解る」という台詞を思い出すと、綺麗な顔の意味がわかって、人形としての役割をどのような気持ちで主人公は終えたのかがわかって感動しました。  

 人形だけでなく心の充足を求めるのは人間も同じで、ARATAさんが恋人を失って心がからっぽ。
 ただ、ちょっと周りの登場人物たちを中途半端に描く必要があったのかが疑問で、警官やオタクな青年や拒食症の女性、未亡人などが印象的に挿入されますが、ちょっと長く感じてしまいました。が、ペ・ドゥナさんの素晴らしいお芝居と人形を通して心を描く素晴らしい映画でした。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2010/04/02 DVD 2023/10/01 U-NEXT

監督是枝裕和 
原作業田良家
出演ペ・ドゥナ 
ARATA 
板尾創路 
高橋昌也 
余貴美子 
岩松了 
丸山智己 
柄本佑 
星野真里 
寺島進 
山中崇 
オダギリジョー 
富司純子 

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