●こんなお話
囚人刑務所惑星に墜落した主人公がエイリアンを持ち込んで囚人たちと戦う話。
●感想
前作での過酷な戦いを乗り越えた主人公たちだったが、その余韻に浸る間もなく、今作は宇宙船内の火災という緊急事態から始まる。逃げ場のない宇宙空間で発生したトラブルによって、彼らの船は未知の惑星へと墜落。その星は、溶鉱炉の管理を目的として稼働している刑務所のような場所で、住んでいるのは20数名、すべてが男性の囚人という特殊な環境だった。
そこに突如、女性である主人公が現れることになり、これまで宗教的な理由から禁欲を誓っていた男たちのあいだに緊張が走る。惑星の中で異質な存在として目立ってしまう彼女だったが、一方で自らの墜落原因を追い始める。仲間だった少女の身体を解剖し、原因を探る彼女に、医者が問いかける。何を調べているのかと。彼女はあくまで冷静に伝染病の可能性を示唆するが、その行動には明らかに別の目的があった。
壊れたアンドロイドを復活させたことで、ついに宇宙船内にエイリアンが潜んでいたことが明らかとなる。主人公はこの事実を周囲に訴えるが、当然のように誰にも信じてもらえない。だが、事態は突然動き出し、医者や施設の責任者がエイリアンに襲われて命を落としたことで、惑星内の空気が一変する。主人公の指示のもとで、囚人たちとともにエイリアンを封じ込める作戦が動き出すが、準備の最中に再び襲撃が発生。爆薬が爆発し、施設全体に火災が広がる。
その混乱のなかで主人公は体調の異変を自覚し、自らの体内にエイリアンが寄生していることを知る。囚人たちを率いていたリーダーに、自分を殺してほしいと懇願するも、それは受け入れられない。最後の手段として、溶鉱炉へとエイリアンを誘い出す作戦が決行される。囚人たちが自ら囮となって走り回りながら、命を懸けてエイリアンをおびき出し、溶鉱炉へと導く。そこにさらに冷却水を浴びせ、エイリアンを完全に破壊しようとする。
そこへ会社の人間たちが現れ、エイリアンを生け捕りにして体内から摘出しようと提案するが、主人公はその申し出を拒否。彼女は自ら命を絶ち、寄生された生命を断ち切る選択をすることで物語は終わる。
シリーズらしく、エイリアンの視点から描かれる映像表現にはスピード感があり、囚人リーダーや冷静な医者、そして出世意欲に燃える企業人と、各キャラクターにも個性があって見ごたえがありました。特に主人公と囚人たちが言葉を超えて協力していく様子には、静かな熱さを感じました。
ただ、終盤の作戦シーンでは、似たような制服姿の人物たちが同じような廊下を走り回る構図が続くため、誰がどこでどうなっているのかが視覚的に分かりにくく、緊張感がやや単調に感じる瞬間もありました。また、せっかくのクライマックスで人物の顔が認識しづらいのは少しもったいなく思いました。
とはいえ、武器らしい武器もない囚人たちが知恵と勇気だけでエイリアンに立ち向かっていく構図は、他のシリーズ作品にはない緊張感と人間味があり、観ていて心を動かされる瞬間も多くあったと思います。シリーズの中でも、特に異質で挑戦的な一作だったのではないかと感じました。
☆☆☆
鑑賞日:2010/12/13 Blu-ray 2023/05/02 Disney+
監督 | デイヴィッド・フィンチャー |
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脚本 | デイヴィッド・ガイラー |
ウォルター・ヒル | |
ラリー・ファーガソン | |
原案 | ヴィンセント・ウォード |
出演 | シガニー・ウィーヴァー |
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チャールズ・ダットン | |
チャールズ・ダンス | |
ポール・マクガン | |
ブライアン・グローヴァー | |
ラルフ・ブラウン | |
ダニー・ウェッブ | |
ジョン・フィールズ | |
ホルト・マッカラニー | |
ランス・ヘンリクセン | |
ピート・ポスルスウェイト |