●こんなお話
警察とニセ札組織の対決の話。
詳細ネタバレあらすじ
香港マフィアの幹部ホーは、偽札組織の中心人物として裏社会で名を知られる存在だった。冷静で義理堅い性格のホーは、派手で豪快な相棒マークと固い友情で結ばれ、危険な仕事を共にこなしていた。
一方、弟のキットは兄の裏稼業を知らず、正義感に燃える警察官として働いていた。ホーはキットにだけは自分の生き方を知られたくないと考えており、弟が警察学校を卒業したことをきっかけに、裏社会から足を洗おうと決意する。
そんな中、ホーは組織の命令で台湾へ渡り、偽札取引を行うことになる。同行したのは若い構成員シンだった。ホーは今回の仕事を最後に引退するつもりだったが、取引相手が突然裏切り、現場は激しい銃撃戦へ発展する。ホーはシンを逃がし、自分は警察に包囲されて逮捕される。
香港に残っていたマークは、ホーを陥れた台湾組織への復讐を決意する。マークは単身で敵アジトへ乗り込み、二丁拳銃を構えながら敵を次々と撃ち倒していく。レストランで紙幣に火をつけてタバコ代わりに吸う場面や、植木鉢に隠した拳銃を取り出して銃撃戦へ突入して常識を超えた大胆な行動で敵を圧倒していく。
しかしマークは脚を撃たれて重傷を負い、以前のように自由に歩けない身体になってしまう。その後、ホーは3年間服役する。
出所したホーは更生を決意し、タクシー会社で真面目に働き始めるが、キットは兄が犯罪者だった事実を知って激しく反発する。さらに父親がホーの裏社会との関係が原因で襲撃され死亡したこともあり、キットは兄を許せず、憎しみを募らせていた。
一方のマークは、かつての栄光を完全に失っていた。以前は高級スーツを着て大勢を従えていた男だったが、今では組織から見捨てられ、脚を引きずりながら雑用同然の扱いを受けている。
それでもマークはホーへの友情を失わず、親友が戻ってくる日を待ち続けていた。ホーは落ちぶれたマークの姿を見て衝撃を受け、彼を救いたいという思いを強くしていく。
現在の組織を仕切っているのは、かつてホーの部下だったシンだった。シンは成功者として振る舞う一方で、内心ではホーへの劣等感を抱き続けており、ホーが再び力を持つことを恐れていた。
シンはホーを組織へ引き戻そうとするが、ホーは拒絶する。するとシンはホーの周囲を脅し始め、キットの存在まで利用しようとする。
キットもまた刑事としてシンの組織を追い続けていたが、兄への怒りと警察官としての使命の間で苦しみ続ける。さらにシンは自らのボスを射殺し、その罪をホーになすりつける。
そしてマークやホーの職場を襲撃し、ホーはついにシンとの全面対決を決意する。ホーとマークは再びコンビを組み、シンの取引現場へ向かう。
港では大規模な銃撃戦が始まり、二人は二丁拳銃を駆使しながら敵を次々と撃ち倒していく。血まみれになりながらもマークは笑みを浮かべ、最後までホーを支え続ける。そこへキットも警察として現場へ駆けつけ、兄弟と親友の三人は共に敵へ立ち向かう。
マークはホーを援護しながら戦い抜くが、敵の銃弾を浴びて致命傷を負う。それでも彼は最後まで笑みを崩さず、キットに向かって「お前の兄貴はもう償った」と語りかける。
最終的にシンは射殺され、抗争は決着を迎えておしまい。
●感想
脇役でありながら、完全に映画の主役級の存在感を放っているチョウ・ユンファ演じるマークの格好良さが圧倒的でした。
マッチを咥えながら二丁拳銃を撃ちまくる姿だけでも十分に痺れますが、敵にボコボコにされた後に香港の夜景を眺めながら熱い台詞を口にする場面など、とにかく全身から“男の美学”が溢れていて凄まじい魅力があります。
特に開始30分付近の中華料理店での襲撃シーンは本当に最高で、植木鉢に拳銃を隠しながら敵地へ乗り込む流れだけでテンションが上がります。
ジョン・ウー監督特有のスローモーション演出や、大量のガラスが飛び散る銃撃戦も相変わらず格好良く、香港ノワールの魅力が凝縮されたようなシーンの連続でした。
また、開始から30分ほどで3年後へ飛ぶ構成もかなり大胆で、その短い時間で人間関係が完全に逆転しているのが衝撃的でした。特にマークの転落ぶりは凄まじく、かつて裏社会で圧倒的な存在感を放っていた男が、脚を引きずりながら雑用係のように扱われている姿には強烈な哀愁があります。
ただ、その3年間で何があったのかはかなり駆け足で描かれるため、感情の変化については少し説明不足にも感じました。
また、主人公ホーが「普通の生活を送りたい」と語る部分についても、そこまで強く更生を望む理由の掘り下げはやや薄く感じます。
弟が警察官だからこそ距離を置きたいという動機は理解できますが、それまで裏社会の中心にいた男が急に一般人として生きようとする心境変化には、少し唐突さもありました。
さらに、組織側もホーをなかなか放っておかず、何度も巻き込もうとしてくるので、「もう静かに暮らさせてあげればいいのに」と思ってしまう場面もあります。
それでも終盤の盛り上がりは本当に素晴らしく、一度は去ったマークが船を引き返して戻ってくる場面から一気に感情が爆発しました。
兄を認めなかった弟と、義理を貫くマーク、そして過去を償おうとするホーが並んで戦う姿は圧巻で、爆破の派手さ以上に男たちの感情が激しくぶつかり合うクライマックスになっていたと思います。
特にマークがキットへ向かって「この勇気を見ろ! お前の兄貴はもう償った」と叫ぶ場面は、本当に映画史に残る名シーンでした。
テーマ曲も何度も流れるので少し多いかなと思いつつ、あの熱量には不思議と押し切られてしまいます。
荒々しくて不器用で、義理と友情に命を懸ける男たちの姿を全力で描いた、今観ても熱気が凄まじい一本でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2011/02/07 Blu-ray 2026/05/11 U-NEXT
| 監督 | ジョン・ウー |
|---|---|
| 脚本 | ジョン・ウー |
| 製作 | ツイ・ハーク |
| 出演 | チョウ・ユンファ |
|---|---|
| ティ・ロン | |
| レスリー・チャン | |
| エミリー・チュウ | |
| レイ・チーホン |


