●こんなお話
香港を舞台に軍隊みたいな警察と強盗団の大銃撃戦をする話。
●感想
銃撃戦にカークラッシュ、さらには大規模な爆破と、アクション映画の醍醐味が惜しみなく投入された作品で、冒頭から最後まで一気に駆け抜ける迫力がありました。主人公は強盗団を追い詰めることに執念を燃やしている刑事で、その武装グループには幼馴染が潜入している。彼は犯罪に手を染めながらも、恋人の存在に揺れ動いており、恋人はすでに悪事をやめたと信じられていて、なんとか真っ当な道に進みたいと願っている。二人の関係性が物語の軸に据えられていて、友情と愛情、そして正義と悪が絡み合う構図が描かれてます。
キャラクターの配置や物語の展開は【ヒート】や【インファナル・アフェア】を彷彿とさせるもので、どこか既視感のある作りではありましたが、それでも銃撃戦をはじめとするアクションの数々が強烈に印象を残すものでした。特に香港の街を舞台にした激しい銃撃シーンは、観客を圧倒する迫力で描かれていて、まるで街そのものが破壊され尽くすのではないかと感じさせるほどの大規模な描写だったと思います。
しかし中盤からは主人公のキャラクターが大きく変わり、犯人逮捕のためなら手段を選ばないという狂気に近い側面が強調される。その結果、王道の活劇としての楽しさがやや削がれてしまうような印象を受けました。せっかくのアクションの高揚感が、主人公の葛藤によってトーンを変えてしまうところは、評価が分かれる部分だと思いました。
それでも銃撃戦の迫力は見どころで、あまりに凄まじいがゆえに、逆に笑いを誘うような場面すらあったり。香港の街並みが崩壊していくかのような描写は、ディザスタームービーさながらで、幼馴染が恋人のもとに帰ろうとする感動的な場面ですら、映像の過剰さによってユーモラスに映ってしまうという独特の魅力を放っていました。
さらに主人公がどれほど爆発に巻き込まれようが、高所から落ちようが、銃撃を受けようが、髪型が一切乱れないという無敵ぶりも印象的で、ある種の様式美として楽しむことができました。現実味よりも見せ場を優先するその姿勢は、香港映画らしい豪快さとして受け止められます。
全体として、ストーリー面では新鮮さに欠ける部分もありましたが、やりすぎとも言えるアクションを詰め込んだ娯楽作として、観客を楽しませる力は十分にありました。アクション映画の過剰さを笑いと共に堪能できる、香港映画ならではのエンターテインメントでした。
☆☆☆
鑑賞日: 2015/04/20 DVD
監督 | アラン・ユエン |
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脚本 | アラン・ユエン |
出演 | アンディ・ラウ |
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ヤオ・チェン | |
ラム・カートン | |
フー・ジュン | |
フィリップ・キョン |