映画【忠臣蔵外伝 四谷怪談】感想(ネタバレ): 幽霊と忠臣蔵が交錯する異色時代劇

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●こんなお話

 赤穂浪士の1人の主人公が娼婦さんといい感じになるけど、いいところの娘さんと結婚したいがために毒殺してさらに討ち入りにも行きたくなくなる話。

●感想

 物語の舞台は、浅野内匠頭が江戸城内で吉良上野介に斬りかかった事件から始まる。浅野は切腹となり、赤穂藩はお取り潰し。残された藩士たちは、仇討ちをするべきか否かで激しい議論を交わしている。急進派の意見も出るが、家老の大石内蔵助はそれを抑え込み、自らは遊び歩くばかり。家臣たちはその姿に苛立ちと不信感を募らせていく。

 一方で、この作品の主人公は赤穂浪士の一人。琵琶を弾いて生計を立てる放浪者のような男。ある日、彼はひょんなことからヒロインと出会い、彼女が働く遊女屋に通い詰め、2人は情を通わせるようになる。やがてヒロインを囲って一緒に暮らすようになるが、男の放蕩ぶりは変わらない。

 ある日、道で琵琶を弾いていた主人公は、武家の侍女や家臣たちを引き連れた高貴な女性と遭遇。そこに狼藉者が現れ、襲いかかろうとしたのを主人公が撃退し、一行から感謝される。この出来事が後に不穏な展開を呼ぶ伏線となる。

 やがてヒロインが妊娠を告げ、主人公は喜ぶかと思いきや、「本当に俺の子か」と疑うような発言をしてしまう。そんな中、ついに討ち入りの時が決まり、浪士たちが集結していく。ところが主人公は参加を拒否し、あろうことかあの高貴な女性の屋敷へ行って祝言を挙げてしまう。

 そして、ヒロインには「安産に効く薬」と称して毒を盛り、命を奪ってしまう。後に主人公が結婚した相手が、死んだはずのヒロインの面影と重なって見え、混乱した彼は新妻を斬ってしまう。

 錯乱した主人公は大石内蔵助に仇討ちを挑みに行くが、返り討ちにあい、命を落とす。そして討ち入りの当日。浪士たちは決行し、主人公も霊となってその場に姿を現す。ヒロインの亡霊もまた不思議な力を発揮して浪士たちを助け、討ち入りは成功を収める。

 最後、主人公の姿は誰にも見えないが、彼が生前に弾いていた琵琶だけが、討ち入りに参加した赤穂浪士たちの元へ届き、物語はおしまい。

 冒頭のクラシック音楽から始まる、世界観の説明を含んだ字幕演出が独特で、雰囲気たっぷりでした。物語の軸には忠臣蔵のエピソードがありながら、主人公は遊び人でどこか信用ならない男。そんな男が女性とすぐに関係を持ち、やがては討ち入りへと巻き込まれていく。

 大石内蔵助の策士ぶりや、若手浪士たちをいなす大人の余裕が印象的でした。クライマックスでは、まるでお岩さんが乗り移ったかのような霊的存在が攻撃してきたりと、SF的要素も加わって異様な世界観のアクションシーンが展開されます。

 ただ、全体的に琵琶の演奏シーンが長く感じたり、白塗りで登場する荻野目慶子や渡辺えりの怪演がインパクト強すぎて内容が飛ぶほどです。また、主人公がヒロインを裏切って毒殺するという重い展開がありますが、2人の絆や感情の蓄積が薄く、そこに至る悲劇性が十分に伝わってこない印象。結果的に、感情移入しにくく、クライマックスの盛り上がりに欠けてしまったと思います。 

 とはいえ、忠臣蔵というおなじみの物語に、幽霊や呪術、音楽などを大胆にミックスした挑戦的な作品であることは間違いないです。独特の美術と演出を楽しめる人には刺さる一本でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2015/07/18 Hulu 2024/01/28 Hulu

監督深作欣二 
脚本古田求 
深作欣二
出演佐藤浩市 
高岡早紀 
荻野目慶子 
石橋蓮司 
渡辺えり子 
蟹江敬三 
火野正平 
菊池麻衣子 
田村高廣 
真田広之 
名取裕子 
近藤正臣 
六平直政 
渡瀬恒彦 
津川雅彦 

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