●こんなお話
独裁政権のアメリカで凶悪犯とヒーローが殺しあうテレビ番組に参加させられるシュワちゃんの話。
●感想
軍人の主人公は、体制に反抗した民衆を無抵抗のまま銃撃せよという命令を拒否し、軍規違反で拘束されてしまいます。収監された刑務所では仲間たちとともに暴動を起こして脱獄。逃亡の末、弟の家を訪ねますが、そこには弟はおらず、見知らぬ女性が一人暮らしてた。
主人公はテレビで自分が凶悪な脱獄犯として報道されていることを知り、女性を連れて国外逃亡を試みる。しかし、女性の通報によって逮捕され、政府主導の殺人ショー番組に強制的に出演させられることになります。
その番組では「ストーカー」と呼ばれる様々な殺人者たちが出演者を追い詰め、視聴者がその様子に熱狂。最初に現れるのはホッケー選手風の男で、主人公は彼を撃退。次に現れるチェーンソー使いとの戦いでは仲間が負傷。主人公がチェーンソーを奪って相手を倒す。
その後、仲間の一人がアンテナを発見し、番組を制御している暗号コードの発信を試みます。同行していた女性も強制参加させられていたため、彼女にコードを伝えるも、次に現れた電気男によって仲間の一人が感電死。主人公は電気男と死闘を繰り広げ、車ごと横転させて勝利。
さらに火炎放射器を使う男が登場。この番組の過去の優勝者たちは実は表向きの自由な暮らしとは裏腹に、番組の裏で処刑されていたことが判明したりして。主人公は火炎放射男を爆破し、ついに番組を裏で動かしていた司会者のもとへ。
反体制派と合流した主人公たちは、番組の真実を暴くために電波ジャックを決行し、放送局を襲撃。司会者を打倒し、国民に向けて真実を訴えておしまい。
ピチピチのスーツ姿で戦うシュワルツェネッガーと、「ストーカー」と呼ばれるクセの強い殺人者たちとの対決が、荒唐無稽ながら非常に楽しく、娯楽としてのパワーを存分に感じさせる作品でした。一方で、やらせ・捏造によって群衆を煽動するマスメディアの姿勢には、今の時代にも通じる鋭い風刺が込められていると感じます。
終盤、突如として反体制派が登場し、あっさり放送局を占拠する展開はやや唐突で、「これで締めに入ります」といった印象を受けましたが、物語のテンポ自体は最後まで心地よく、エンタメとしての面白さを存分に味わえる作品でした。
結末で主人公が英雄として称えられる展開も、一見爽快なようでいて、根本的な問題が解決したようには思えない皮肉な余韻が残ります。そうした点も含めて、考えさせられる要素のある一本です。
☆☆☆
鑑賞日: 2015/11/16 Hulu 2024/05/21 U-NEXT
監督 | ポール・マイケル・グレイザー |
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脚本 | スティーヴン・E・デ・スーザ |
原作 | スティーヴン・キング |
出演 | アーノルド・シュワルツェネッガー |
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マリア・コンチータ・アロンゾ | |
ヤフェット・コットー | |
ジム・ブラウン |