映画【ソロモンの偽証 前篇・事件】感想(ネタバレ)

Solomon's-Perjury-(2015)
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●こんなお話

 クラスメイトが謎の死を遂げて、警察は自殺と断定して学校も幕引きしようとするけど、他殺だという告発文が届いて、果たして何があったのかとみんな大騒ぎな話。

●感想

 青白くて暗くてシネスコの映像は雰囲気抜群でどしんと重たいまま進む作品で凄かったです。メインの学生さんたちも若い役者さんたちで周りを有名役者さんたちが固めるという映像もよかったです。
 大人たちよりももっと大人な考えで動く子どもたちで、それぞれがそれぞれの悩みを抱えているのを丁寧に描いていて緊張感いっぱいでした。
 普通に考えると子どもたちだけで裁判するというのはリアリティないですが、それをリアリティある感じで説得力あるようになっていたのもよかったです。

 大人たちは届けられた告発状を巡って大騒ぎ。一方の子どもたちの関係も複雑。
 主人公はいじめられているクラスメイトを助けることができずに見て見ぬふり。というのもそのいじめられっ子もいじめられっ子同士で罵っていじめみたいなことをしていたりするから。
 それを自殺したクラスメイトに見られて「口先だけの偽善者」と罵られる。この時の主人公が涙するカットなんかも印象的でよかったです。背後から正面にまわると涙が流れるというお芝居。
 「口先だけの偽善者」と罵られた人たちが校内裁判をしようと動き始めて、それに同調する者もいれば妨害しようとする者たちもいて。

 これだけ大勢の登場人物を一気にまとめていくお話の見せ方は素晴らしかったです。 

 ただ裁判をやろうという展開になってから、学園祭みたいなノリになって、そんなに軽い感じで行うんだと戸惑いました。隣人さんがいきなり貞子風だったり、告発状をタイプするクラスメイトの目がめっちゃ怖かったり、ホラー映画な演出にもびっくりでした。
 いじめっ子はいじめっ子だし、いじめられっ子はいじめられっ子だし、太っちょは太っちょだし、ガリ勉はガリ勉だし、強権的な先生はそんな感じだし、DV男はDV男だし。キャラクターがいかにもなデフォルメされすぎてわかりやすすぎるかな? と思ったりもして乗り切れなかったですが。

 果たして生徒たちは? 保護者たちは? 教師たちは? 刑事たちは? 事件の真相は? と気になることがたくさん広がって、クライマックスの裁判が楽しみな映画でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2015/03/10 TOHOシネマズ南大沢

監督成島出 
脚本真辺克彦 
原作宮部みゆき
出演藤野涼子 
板垣瑞生 
石井杏奈 
清水尋也 
富田望生 
前田航基 
望月歩 
西畑澪花 
若林時英 
西村成忠 
加藤幹夫 
石川新太 
佐々木蔵之介 
夏川結衣 
永作博美 
黒木華 
小日向文世 
尾野真千子 
平祐奈 

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