ドラマ【ダブルフェイス ~偽装警察編~】感想(ネタバレ)

●こんなお話

「潜入警察編」から今度は警察側の主人公が危機を突破していく話。

●感想

　【偽装警察編】は、原作に忠実だった【潜入捜査編】に比べて新しいところとして、香川照之さん演じる刑事だけど実はヤクザの男が親分に命じられて厚生省の役人の娘である蒼井優さんとの交流が描かれていて。原作ではもう婚約だかしていたところを、2人の出会いから始まり。
　主人公は親分の言うとおりに動いてきて「ファミリーのためだ」と言われ命令を忠実にこなしてきた。そこへ親の言うなりにならず「自分の道は自分で決める」と小説家で取材のためにいろんな職業のバイトをこなす彼女といるうちにしだいに心が溶け変化していく。けれど親分から「娘をシャブづけにして役人の父親のスキャンダルを作れ」という命令に戸惑い悩みます。

　そして主人公は自分のファミリーを守るためにどうするのか?　自分で自分の道を決めたいと思った時にどうするのか?　潜入捜査官に連絡を取って……。
　この刑事だけど実はヤクザという男の変化がなかなか丁寧に描けていて面白かったです。小説家が多重人格を調べていて主人公に対しそういう感情を抱いたりするのも。
　けれども自分の立場を守ろうとするために自分の正体を知る者を排除しようとして……。

　そして全てがエピローグ。原作だとどんどんと精神が破壊され壊れていくという描写がされていましたが、このドラマでは潜入捜査官が心を許していた女性から「絶対、ヤクザのスパイを見つける」と宣戦布告され、敵対してたヤクザから追い詰められ、蒼井優さんはどういう行動をとるのか?
　このときにエレベーターを降りていく主人公。まさに地獄へと向かって転落していくという。因果応報ってあるんだなと思えるエンディングでした。

　ただ、原作でもICレコーダーが重要なアイテムとなりますが。組織が崩壊してすべてがひと段落した後に潜入捜査官がICレコーダーの記録で主人公を追い詰めますが。組織が崩壊したあとに警察の家宅捜索が入らないのかな?　と疑問でした。このドラマだと普通にヤクザの下っ端が親分の部屋に入ってきて「記録持って敵対組織に挨拶いこうぜ」なんて普通に転職にいそしんでるし。
　とはいえ、原作の映画に忠実かつオリジナルな部分を加えて親分を演じる小日向文世さんの熱演も素晴らしく、面白いSPドラマでした。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2013/05/12　WOWOW・TBS