●こんなお話
アジア某国で反政府軍が外国人を皆殺しにするってんで、リアル鬼ごっこになる白人ファミリーの話。
●感想
物語は、どこか東南アジアを思わせる王宮のような場所から始まる。王のもとに運ばれた水を、まずはボディガードが試飲して安全を確認。その後、白人の“首相”と呼ばれる男が登場し、王とともに何やら会談を行う。話がまとまり首相がその場を後にした直後、突如として銃声が鳴り響く。ボディガードが慌てて戻ると、そこには異変が起きており、まもなく映画のタイトルが画面いっぱいに現れる。このオープニングのテンポと緊張感は、観る側を一気に作品の中へ引き込んでいくものでした。
ここからは、逃げて逃げて、また逃げるという息もつかせぬ展開が続いていく。どうして暴動が起きたのか、何が原因だったのかといった背景はセリフでわずかに触れられる程度で、詳細な説明はほとんどありません。ただ、今この瞬間、捕まれば命の保証がないという切迫した状況が画面に描かれており、そのシンプルさが逆に観ていて緊張感を生み出していました。
逃げ惑う主人公一家が目の前の混乱に巻き込まれ、必死に身を隠しながら国境を目指していく姿にはハラハラさせられました。子どもを抱えて屋根を伝って逃げるシーンや、ホテルの中で発砲音に怯える場面など、緊迫感のある演出が繰り返されていて、観ているこちらもずっと息を詰めながら見入ってしまいます。
途中、ピアース・ブロスナンさん演じる謎の男が登場し、絶体絶命の瞬間に助けてくれるのですが、その登場もスマートで格好良く、まるでアクション映画のヒーローのようでした。もう少し物語に深く関わっても良かったのではと思うくらい、出番が少なめだったのが少し惜しかったです。ただ、そのぶん作品全体としてはテンポが良く、スピード感を失わずに最後まで突っ走っていた印象です。
国境を越えていくというラストの展開も、ややあっさりとしているように感じる部分はありますが、90分あまりの尺の中で、これだけ緊張を保ち続ける作りには感心しました。細かな背景や説明をあえて排除することで、逃げるという行為のみに集中させる潔さがあり、その分スリルをより強く感じることができたと思います。
全体的に、とてもわかりやすく、そしてドキドキさせてくれるアクションスリラー作品として、十分に楽しむことができました。何も考えずに没頭したいときに観る作品として、とても良いバランスだったと思います。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2015/09/16 チネチッタ川崎
監督 | ジョン・エリック・ドゥードル |
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脚本 | ジョン・エリック・ドゥードル |
ドリュー・ドゥードル |
出演 | オーウェン・ウィルソン |
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レイク・ベル | |
スターリング・ジェリンズ | |
クレア・ギアー | |
ピアース・ブロスナン |
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