映画【悪魔と夜ふかし】感想(ネタバレ):深夜生放送を襲う恐怖体験

Late Night with the Devil
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●こんなお話

 テレビ番組の生放送でオカルトを扱ってたら大変なことになった記録。

詳細ネタバレあらすじ

 1970年代のアメリカ。戦争や社会不安、エネルギー問題などが連日のように報じられ、人々の心には漠然とした閉塞感が漂っていた。そんな時代の空気を伝えるニュース映像が流れる中、人気深夜番組「ナイト・オウルズ」の司会者ジャック・デルロイの歩みが紹介される。

 ジャックは親しみやすい語り口と大胆な企画で視聴者の支持を集め、深夜テレビ界を代表する存在となっていた。しかし高い人気を維持しながらも、長年ライバル番組の牙城を崩すことができず、視聴率争いではあと一歩届かない状況が続いていた。

 さらに最愛の妻を病で失ったことをきっかけに、ジャックは突然公の場から姿を消してしまう。番組は休止状態となり、世間ではさまざまな憶測が飛び交った。

 そして一か月後、ジャックは復帰を果たす。彼が復帰第一回の放送で用意していたのは、これまでの番組史上でも最大級の話題を呼ぶ企画だった。

 ゲストとして招かれたのは、悪魔崇拝集団による集団死事件の唯一の生存者である少女リリー。そして彼女を保護しながら研究を続けている精神科医ジューン博士だった。リリーは事件以降、普通では説明できない現象を起こす少女として注目を集めていた。

 番組にはさらに、自称霊能力者のクリストゥと、超常現象を徹底的に否定するマジシャン兼懐疑論者のカーマイケル・ヘイグも出演する。霊能力と科学的検証をぶつけ合う構成は視聴者の興味を大いに刺激し、スタジオの熱気は高まっていく。

 クリストゥは観客席にいる人物の過去を言い当てるなど、不思議な能力を披露して会場を沸かせる。しかし収録が進むにつれ、彼の様子は次第におかしくなっていく。突然激しく苦しみ始めたクリストゥは、そのままスタジオを後にすることになる。

 不穏な空気が流れる中でも、ジャックは予定されていたメイン企画を進行する。ジューン博士は危険性を理解しながらも、短時間だけリリーの中に存在するとされる何者かとの接触を試みる決断を下す。

 やがて儀式が始まると、リリーの声色や表情は明らかに変化していく。幼い少女とは思えない低い声がスタジオに響き渡り、その場にいた全員が異様な空気を感じ取る。

 それでもヘイグは動じない。人間の思い込みや集団心理によって、存在しないものを見てしまうことは珍しくないと主張し、自ら催眠術の実演を行う。彼は番組スタッフに強烈な幻覚を見せ、その場にいた全員を驚かせる。

 放送終了後、スタッフたちは映像を確認する。もしヘイグの説明どおりならば、観客たちが見た恐ろしい出来事もすべて幻覚だったはずということに。ところがモニターに映し出された映像には、リリーの顔つきが変わり、低い声で話し始める様子がはっきりと記録されていた。スタジオで目撃した異様な光景は、幻覚ではなかったのである。

 それでもヘイグは超常現象の存在を認めようとせず、自分の理論が正しいと反論を続ける。その直後、椅子に座っていたリリーが突然顔を上げ、少女の口からはそれまでとはまったく違う低い声が響き渡る。拘束されていたはずの身体が激しく動き始め、リリーはジャックを突き飛ばして床へ倒すと、近くにいたガスへ襲いかかり、続いてジューン博士、ヘイグにも手をかける。スタジオは悲鳴と怒号に包まれ、観客やスタッフは出口へ殺到し、生放送の現場は完全な混乱状態に陥ってしまう。

 ジャックは騒動の中でスタジオの外へ逃げ出すことに成功するが、しばらくして再び中へ戻る。すると、そこには倒れた出演者やスタッフたちの姿が広がっていた。

 その直後、ジャックの目の前の景色が変わり、彼は奇妙な儀式が行われている場所へ立っていた。亡き妻との思い出や、司会者として成功を追い求めてきた日々など、過去の出来事が次々と目の前に現れていく。

 やがて意識が現実へ戻ると、ジャックは自分の手にナイフが握られていることに気づく。そしてその目の前には、胸を刺されたリリーが倒れていた。ジャックは自分がいつ、どのようにしてリリーを刺したのか理解できないまま立ち尽くす。過去の記憶と現在の出来事が入り混じる中、おしまい。

●感想

 最も印象に残ったのは、ヘイグが披露した催眠術の場面でした。特にミミズを使った一連のシーンは非常にインパクトが強く、思わず身構えてしまうほどでした。超常現象を否定する立場の人物でありながら、誰よりも異様な能力を見せつけていた存在でもあり、ある意味では悪魔以上に得体の知れない人物だったように感じます。

 一方で、超常現象が本格的に始まるまでの展開はかなりゆっくり進みます。映画の前半はホラー作品というより、1970年代のアメリカの深夜トーク番組をそのまま再現したドキュメンタリー映像を見ているような感覚でした。番組の空気感や当時のテレビ文化を丁寧に作り込んでいる反面、恐怖を期待して観ると少し長く感じる方もいるかもしれません。

 ただ、その時間を使って番組出演者たちの関係性や、ジャックの置かれている状況を積み重ねているため、後半の異常事態との落差は非常に大きくなっています。平穏なテレビ番組が少しずつ壊れていく過程を味わう作品として観ると印象も変わってきます。

 終盤については正直なところ一度観ただけでは理解しきれませんでした。ジャックが体験している出来事のどこまでが現実で、どこからが幻覚なのか。悪魔が見せた光景なのか、それとも彼自身の後悔や罪悪感が形となって現れているのか。さまざまな解釈が可能な作りになっています。

 特にラストは説明を最小限に抑えているため、人によって受け取り方が大きく変わりそうです。観終わったあとに考察を読みたくなるタイプの作品であり、単純な恐怖だけではなく、余韻や謎を楽しむホラー映画だったと感じました。

☆☆☆

鑑賞日:2026/07/11 U-NEXT

監督コリン・ケアンズ 
キャメロン・ケアンズ 
脚本コリン・ケアンズ 
キャメロン・ケアンズ 
出演デヴィッド・ダストマルチャン 
ローラ・ゴードン 
フェイザル・バジ 
イアン・ブリス 
イングリット・トレリ 
リース・アウテーリ 
ジョージナ・ヘイグ 
ジョシュ・クオン・タート 
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