●こんなお話
飽和潜水士が事故で深海に取り残されてレスキューしようとする話。
●感想
主人公のクリス・レモンズは婚約者に仕事に出ることを告げ、仲間のデイヴやダンカンとともに、飽和潜水士として北海で海底のガスパイプラインや設備の保守に従事していた。彼らの仕事は母船に設置された加圧室で過ごし、そこからダイビングベルで海底に降りて作業するという過酷なものだった。
ある任務中、クリスとデイヴはベルから出てマンホールド点検に取り掛かり、ダンカンはベル内で通信や生命維持系統を管理していた。しかし、海上は荒天で母船のポジショニング・システムが故障し、船体が少しずつ作業地点から流されてしまう。船上では手動で位置を維持しようと奮闘するが、海底ではその影響でケーブルに大きな負荷がかかり、クリスのケーブルが海底構造物に引っかかって断裂。クリスは海底に取り残され、わずかな予備酸素に頼る絶体絶命の状況に置かれる。
母船側は必死にシステムを復旧させ、作業地点に戻ろうとする。デイヴはベルに戻り、通信を試みながら救助の糸口を探す。一方でクリスは酸素が尽きかけ、意識が遠のきながらも必死に体を動かし、デイブと交わした言葉を胸にマンホールドを目指そうとする。
やがて救助チームは遠隔操作機器を用いて彼の姿を発見する。すでに長時間無酸素状態で倒れていたクリスだったが、ベルに収容されるとダンカンが必死に蘇生を行い、絶望的な状況のなかで粘り強く処置を続けた結果、ついに彼は呼吸を取り戻し意識を回復する。仲間たちに囲まれて加圧室で回復に専念し、港へ戻ると婚約者モラグと再会を果たす。
エピローグでは、この出来事が実話に基づくものであると語られ、クリスは重い後遺症を残さず職場に復帰したこと、そして科学者たちがなぜ彼が30分に及ぶ無酸素状態で生還できたのか解明できていないことが明かされる。
飽和潜水士という特殊な仕事を知ることができる点はとても興味深く、お仕事映画としての魅力がありました。また、深海の怖さや、極限状態でもパニックに陥らず最善を尽くす仲間たちの姿には引き込まれるものがありました。一方で、仕事に向かうまでの描写が長く感じられたことや、物語が「取り残されて助け出す」という流れに終始していたため、やや淡々とした印象を受けました。正直なところ、映像作品というよりドキュメンタリー番組で扱った方がさらに面白くなるのではとも感じました。それでも極限の現場を体感できるという点では、貴重な一本であったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2025/09/28 イオンシネマ座間
監督 | アレックス・パーキンソン |
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脚本 | ミッチェル・ラフォーチュン |
アレックス・パーキンソン | |
デヴィッド・ブルックス |
出演 | ウディ・ハレルソン |
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シム・リウ | |
フィン・コール | |
クリフ・カーティス |