映画【ファンタスティック・フォー】感想(ネタバレ):ファンタスティック・フォーが描く未来への挑戦

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●こんなお話

 テレポーテーションをやろうとする天才な若者たちが実験するけど、案の定、トラブルに見舞われてスーパーパワーを手にしてしまう話。

●感想

 主人公は幼い頃から天才的な頭脳を持ち、家のガレージで独学で研究を重ねていた。とある日、彼は物体を空間移動させるテレポーテーション装置を開発することに成功する。それをきっかけに、その才能に目をつけた政府系の研究機関の人物たちが集まり、主人公を含む若者たちによる開発チームが編成される。

 物語の序盤では、研究チームの結成から装置の本格的な開発に至るまでがじっくりと描かれていく。科学的探究の熱意や、若者たちの理想と情熱が交錯する展開は興味深いものの、上映時間のほぼ半分を費やしてしまうほど長く、観ていて少々テンポの重さが気になったのも事実です。特に能力を得るまでの前振りが丁寧すぎるあまり、物語がなかなか動き出さないという印象を持ちました。

 中盤では、テレポーテーション装置の完成に至ったチームが、ある出来事をきっかけに装置を無断で稼働させてしまいます。そしてその実験が予期せぬ結果を生み、主人公たちは特殊な能力を身につけてしまう。ここが転機となるはずの重要な場面なのですが、能力を得たあとの物語は意外にも大きく展開せず、しばらくの間、登場人物たちの心情の動きが描かれないまま、淡々と場面が進んでいきます。

 個人的には、ここで彼らが新たに得た身体の変化に戸惑ったり、それを受け入れようと葛藤するような描写があれば、より感情移入しやすかったのではないかと感じました。ところが実際には、仲間たちはあっさりと政府機関の一員として働き始め、唯一逃げ出す主人公だけが異なる道を歩み出します。このズレた構図がどうにも腑に落ちず、彼らの行動の背景にある気持ちを知りたいと思いながらも、その手がかりが見えてこないままでした。

 また、能力を活かした派手なアクションシーンがほとんど登場しなかったのも少々寂しく感じました。ヒーロー映画であれば、その能力を使った戦いや、チームプレーの妙などが大きな見どころになるはずですが、それらが描かれる機会は極めて限られており、特にクライマックスにおける盛り上がりに欠けていたのは印象として強く残っています。

 終盤では、敵役が突如として地球の存亡に関わるような巨大な存在となり、それを止めるために主人公たちが再集結するという展開になります。にもかかわらず、チームとしての連携や個々の能力を活かした戦術などはほとんど見られず、あっという間に決着がついてしまう。物語としてのカタルシスを感じる暇もなく、静かに物語は終わっていきました。

 全体を通して、能力を得るまでの科学的なアプローチや、装置開発の過程は丁寧に描かれている一方で、ヒーロー映画として求められる興奮や爽快感には今ひとつ届いていなかったという印象を受けました。ファンタスティック・フォーという、これまでにも多くの映像化が試みられてきた題材だからこそ、この作品ならではの個性や驚きがもっと欲しかったと感じました。

☆☆

鑑賞日: 2015/10/09 TOHOシネマズ川崎 2021/12/28 Disney+

監督ジョシュ・トランク 
脚本ジョシュ・トランク 
ジェレミー・スレイター 
サイモン・キンバーグ 
出演ケイト・マーラー 
マイルズ・テラー 
ジェイミー・ベル 
マイケル・B・ジョーダン 
トビー・ケベル 
レグ・E・キャシー 
ティム・ブレイク・ネルソン 

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