ドラマ【ムーンナイト】感想(ネタバレ):多重人格の葛藤とエジプト神話の壮大な世界

Moon Knight
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●こんなお話

 エジプトの神様の力を得て神様のアバターとして頑張る主人公の話。

●感想

 ロンドンで平凡な日常を送るスティーヴン・グラントの生活は、ある日突然大きく変わる。彼が目覚めた見知らぬ場所で、血のついた身体に気づき、知らない銃撃事件に巻き込まれていたことを知る。やがて、自分の身体にもう一つの人格が共存している事実を知ることになる。その人格はマーク・スペクター、かつて特殊部隊員であり、現在は月の神コンスの使徒として生きている男だった。

 スティーヴンは最初は困惑しながらも、マークとの対話を重ねるうちに互いの存在を認め合い、共存を模索していく。マークの過去にまつわる戦闘経験や心の傷が徐々に明らかになる一方、スティーヴンの平凡な日常とのギャップが丁寧に描かれている。二人の精神は揺れ動きながらも、身体の主導権を争い、神秘的な力と使命に導かれていく様子は興味深いです。

 物語はエジプト神話の世界に深く入り込み、彼らが月の神コンスの力を授かり、ムーンナイトとして闇の神アメミットとその信奉者たちとの激しい戦いに巻き込まれていく展開となる。強大な敵と複雑な陰謀に対峙する中で、二重人格ゆえの葛藤は戦闘以上の試練となるが、やがて互いの違いを乗り越え協力関係を築く姿は見応えがありました。

 また、マークの過去に登場する家族や妻、そしてスティーヴンが知らなかった自身の秘密も次々に明かされ、二人の関係性は単なる同居者を超えた運命的な繋がりとなっていく。月の光が精神の闇と光を象徴するように、人格同士の対比が繊細に表現されている点も印象的。

 クライマックスでは、二人は闇の神アメミットの信奉者ハロウとの決戦に挑み、壮大な神殿の崩壊や超自然的な戦いを繰り広げる。お互いの力を最大限に発揮し、相手の存在を受け入れたことで完全な覚醒を遂げる。最終的にアメミットの脅威は退けられるものの、月の神の使徒としての戦いがこれからも続いていくことを示唆して物語は続いていく。

 オスカー・アイザックの多重人格を演じ分ける繊細なお芝居はとても見応えがあります。その一方で、精神世界の描写が多く、画面がたびたび場面転換するため、特に2話まるごとで主人公の精神世界でのやり取りが中心となり、少し入り込みづらいと感じる部分もありました。さらに、固有名詞が多く頭に入りにくいため、物語の全体像を掴むまでに少し時間がかかりました。

 それでも、複雑な精神的葛藤やエジプト神話の世界観に基づく壮大な物語は独特の魅力を放っていて、オスカー・アイザックの演技力によって引き込まれる作品です。二重人格というテーマを巧みに表現しつつ、超自然的な戦いが織り成す話でした。

☆☆

鑑賞日:2025/08/11 Disney+

監督モハメド・ディアブ
ジャスティン・ベンソン
アーロン・ムーアヘッド
脚本ジェレミー・スレイター
アレックス・ミーンハン
出演オスカー・アイザック
イーサン・ホーク
メイ・キャラマウィ
F・マーリー・エイブラハム
アン・アキンジリン
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