●こんなお話
セレブの男性の別荘で不倫してたら男性の狩りの仲間が現れてレイプされて殺されそうになったのでリベンジする話。
●感想
砂漠に広がる静寂を破るように、1機のヘリコプターが滑るように降下していく。舞台となるのは広大な土地にぽつんと建つ別荘。そこに到着するのは主人公の若い女性と、その恋人とされる男性。2人は到着早々、肉体を重ねる親密な時間を過ごすことになる。
翌朝、主人公が目覚めると見知らぬ2人の男が家にいた。どうやら恋人の“狩り仲間”だという。誘われるまま、3人で朝まで騒ぐ夜が始まる。酒とドラッグの空気の中、主人公は違和感を抱えながら眠りにつく。そして再び目覚めると、恋人の姿はなく、残された男たちだけがその場にいた。
そのうちの1人が主人公に襲いかかり、暴力的な行為をはたらく。戻ってきた恋人に訴えるも、取り合ってくれず、金を渡して黙らせようとする態度に愕然とする。逃げ出そうとする主人公を恋人は突き飛ばし、崖下へと落としてしまう。鋭利な木の枝に身体を貫かれた主人公は、誰の目にも死んだように見えた。
しかし主人公は生きていた。重傷の身体を引きずりながら、懸命に逃げ出す。男たちが気づいて追いかけ始める中、主人公はサバイバルの中で反撃の機会をうかがっていく。川辺での夜の戦いでは、ナイフで敵の片目を貫き、銃を奪う。洞窟へ逃げ込み、麻薬で幻覚に襲われながらも自力で傷の手当をする姿は鬼気迫るものがありました。
バギーに乗ってさらに逃げ出すも、燃料が尽きて砂漠をさまよう羽目に。一方、敵の男が車を修理している隙を突き、狙撃して対決。突進してくる車に対しても冷静に銃を構え、撃ち抜いていく。立場は逆転し、ついに1人だけ生き残った恋人は別荘へと戻る。
シャワー浴びる恋人の前に血と砂にまみれた主人公が現れる。2人の対峙はついに最終局面へ。全裸の恋人が主人公の気配を感じ取り、屋敷の中を追いかけ回す長回しのシーンは、奇妙な緊張感と肉体の滑稽さが混じり合うようで、観ていて強く印象に残りました。やがて、血に染まった家の中で、追いつ追われつの戦いが続き、ついに主人公が銃を構え、引き金を引く。恋人を撃ち倒した後、遠くからヘリコプターの音が響いてくる。
終盤の血まみれの戦いは、ぐるぐると家の中を移動しながら繰り広げられる異様な熱気があって、目が離せなかったです。特に恋人が全裸で駆け抜けていく長回しの場面は、妙にシュールで、でも妙にリアルで、非常に印象深いシーンになっていたように感じました。
暴力描写はかなり激しくて、ガラスや金属が肉体に突き刺さる場面は、思わず目を背けたくなるほどですが、どこか美術的なこだわりも感じられて、逆にしっかり見たくなるような吸引力がありました。損壊描写を楽しむ、というとやや語弊があるかもしれませんが、その迫力は間違いなく作品の魅力のひとつになっていたと思います。
一方で、砂漠という空間の広さがどの程度あるのか、登場人物同士の位置関係が把握しにくい部分もあって、観ていてちょっと混乱するところもありました。特に主人公が重傷を負った状態で複数の男性を相手に次々と勝っていく過程には、もう少し説得力が欲しかったかなと感じる部分もあります。ただ、それでも最後まで引き込まれる演出と勢いがあり、2時間近いランタイムもあっという間に感じられました。
☆☆☆
鑑賞日:2025/06/27 Amazonプライム・ビデオ
監督 | コラリー・ファルジャ |
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脚本 | コラリー・ファルジャ |
出演 | マチルダ・ルッツ |
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ケヴィン・ヤンセンス | |
ヴァンサン・コロンブ | |
ギヨーム・ブシェド |