●こんなお話
病院に収容されている主人公が裁判を行うことになるのと女性と出会って元気はつらつになったりする話。
●感想
物語は、アニメーションによるジョーカーの描写から始まります。その後、精神病院の病室で静かに過ごしている主人公が描かれます。彼は看守に声をかけられてもほとんど反応せず、処方された薬を素直に服用し、模範囚のような態度を保っています。
弁護士や、前作にも登場した精神科医との面会を通して、過去の事件に関する裁判の準備が進められる中、主人公は軽犯罪者が集められた病棟へと移動します。そこで、ヒロインとなる女性と出会う。
病棟内で行われる合唱会への参加を促され、主人公は気乗りしないながらも参加します。そして、ヒロインとの会話を通して互いの過去や心情を語り合い、物語の途中には脳内ミュージカルのような幻想的な演出も展開されたり。
ある日、みんなで映画を鑑賞している最中に、2人は脱走を企て、火事を起こして騒ぎに乗じて逃走を図ります。華やかなミュージカル演出が加わるものの、最終的に主人公は捕まり、独房に収監されます。ヒロインは病院を退院しますが、主人公の弁護士から「彼女は嘘をついている」と忠告される場面も描かれます。それでも面会を通じて、ヒロインは主人公に妊娠したことを告白。
裁判が始まると、主人公の弁護士は「多重人格による責任能力の欠如」を主張しようとしますが、裁判中、主人公の回想や妄想が次々と挿入され、現実と空想の境が曖昧になっていきます。やがて、主人公は弁護士を解任し、自ら弁護を行うと宣言。傍聴席の支持者やヒロインが盛り上がる中、主人公の弁護は支離滅裂で、どこに向かっているのか分からない内容に終始します。
前作の登場人物たちが証言に立つ中で、主人公の心も徐々に揺らぎ、やる気を失っていきます。そして裁判の終盤、「もうジョーカーはいない」と語ったことで、ヒロインや支持者たちも失望し、距離を置くようになります。ヒロインの留守番電話にメッセージを残した直後、裁判の場で爆発が起こり、混乱に乗じて主人公は逃走します。
混乱の中、主人公は支持者たちにも警察にも追われ、ついにはヒロインと再会。しかし彼女は主人公のもとを去り、主人公は再び逮捕されます。
ラストでは、再び病院内で模範的な態度を取りながら静かに過ごしていた主人公が、若い囚人に突然刺されておしまい。
本作において印象的だったのは、主人公とヒロインによる歌唱シーンです。そのいずれもが非常に魅力的で、観る者を引き込む力がありました。脳内ミュージカルの演出や歌の構成は、見応えがあり、画面のルックも前作と統一されており、2部作としてしっかりとしたつながりを感じることができました。
ただし、全体のストーリー展開としては、主人公が病院での生活を繰り返しながら、妄想や裁判、歌唱といった要素が断続的に描かれるため、物語が徐々に盛り上がっていくような構成にはなっていません。そのため、上映時間以上に体感時間が長く感じられ、冗長さや退屈さを覚える場面も多くありました。
また、主人公とヒロインの関係も、感情の高まりに欠けており、恋愛ドラマとしては盛り上がりに欠ける印象を受けました。作品全体として、現実と妄想、ファンタジーの境界が曖昧で、観る側としては混乱や戸惑いを感じやすい作風でもありました。
☆☆
鑑賞日:2024/10/14 イオンシネマ座間
監督 | トッド・フィリップス |
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脚本 | スコット・シルヴァー |
トッド・フィリップス |
出演 | ホアキン・フェニックス |
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レディー・ガガ | |
ブレンダン・グリーソン | |
キャサリン・キーナー | |
ザジ・ビーツ |