映画【青春18×2 君へと続く道】感想(ネタバレ):時を越えてつながる心の旅:台湾と日本を結ぶ美しいラブストーリー

18×2 Beyond Youthful Days
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●こんなお話

 台南で学生時代にカラオケのバイト先で日本人の女の子がバイトに来ていい感じになったり、大人になって旅をする話。

●感想

 主人公がゲーム会社の役員会議で事実上の追放を受けるという場面から始まります。そんな中で、彼は18年前に受け取った一通の手紙を偶然見つけ、それをきっかけに日本への旅を決意。

 18年前の回想へと移り、大学受験を控え、カラオケ店でアルバイトをしながら日々を過ごす若き主人公は、様々な客の対応に疲れながらも、合格祈願のためお寺を訪れていました。ある日、そこで日本人女性と出会います。彼女は「ここで働かせてください」と申し出て、店長の許しを得てカラオケ店で働くことに。

 この日本人女性の人柄が瞬く間に店の人気を高め、カラオケ店は大盛況に。彼女は旅の途中で、絵を描くことを目的としていたようで、店の壁にも美しい絵を描いてくれることになります。歓迎会の帰りには2人で原付に乗って夜景を見に行き、さらに岩井俊二監督の映画を一緒に観るというデートも描かれ、若き日の淡い恋の思い出が描かれます。

 現代のシーンでは、主人公が日本人女性の故郷を訪れ、雪景色に感動したり、偶然出会ったバックパッカーや、台南出身の居酒屋店員と意気投合したりと、様々な出会いを経験。また、自分が開発したゲームをプレイしていた人物とも出会い、親しみを感じながら共にランタン祭りへと向かいます。

 回想では、日本人女性が帰国することが決まり、主人公は寂しさに沈みながらも、2人でランタン祭りに行き、大切な思い出を作ります。そして物語は再び現代へと戻り、主人公が彼女の実家を訪ねた際、彼女はすでに難病で亡くなっていたという事実が明かされる。台湾へ旅立った後、さらにブラジルへ向かおうとしていた矢先のことだったことがわかる。

 この出来事を経て、主人公は新たな人生の一歩を踏み出す決意。ラストでは、視点が男性主人公から女性主人公へと切り替わり、同じ出来事を異なる視点から見せる構成が印象的でした。

 本作に登場する人々は皆親切で、困っているときには見ず知らずの人であっても積極的に声をかけ、車に乗せてくれたり道案内をしてくれるなど、温かな善意に満ちています。シャイで無口という典型的な日本人像は描かれず、オープンでフレンドリーな人々が印象的でした。

 映像としては、台南の景色やお寺、ランタン祭りといった情景が美しく描かれており、全体としては非常に雰囲気のある作品でした。しかし、登場人物たちが皆善人で、物語が好意や親切でのみ展開していくため、現実感が薄れ、やや人工的な印象を受ける場面もあったり。それでも、岩井俊二作品を思わせるような透明感のある構成や映像美が魅力的で、心に残る一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2024/08/03 NETFLIX

監督藤井道人 
脚本藤井道人 
原作ジミー・ライ
出演シュー・グァンハン 
清原果耶 
ジョセフ・チャン 
道枝駿佑 
黒木華 
松重豊 
黒木瞳 
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