映画【バッド・トレジャー】感想(ネタバレ):金塊をめぐる攻防と家族の再会、意外性に満ちたサスペンス劇

DANGEROUS
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●こんなお話

 弟が亡くなったので葬式のために島に行ったら武装集団が襲ってくるので迎撃する話。

●感想

 主人公が滞在しているホテルの部屋に、見知らぬ男がいるところから物語は始まる。そこへ警官が突入してきたときには、すでに男は殺害されており、状況から主人公が容疑者として指名手配されることになる。

 捜査官が、主人公の通っている精神科医に事情を聞きに行く一方で、主人公は弟の死を受けて、葬儀のために故郷の島を訪れる。家族と再会するも、母親との関係は冷えきっており、歓迎される空気はない。島の保安官も主人公の手配情報を知り、彼を拘束する。その後、FBIを名乗る者たちが到着するが、実は偽者であり、保安官は撃たれて命を落とす。騒動の中、銃撃音を聞いた主人公は拘束を脱し、襲撃者の1人を倒していく。

 やがて、武装した集団が何かを探しながら屋敷に侵入しようとするが、防弾扉が作動し、屋敷は外から閉ざされる。敵は地下探知機などを使いながら執拗に屋敷内部を探索する。その中で、主人公や島にいた人物たちが少しずつ反撃を始め、敵の数を減らしていく。

 やがて、亡くなった弟が管理していたワインセラーの奥に隠し扉があることが判明し、その先にはなんと日本軍の潜水艦が眠っていた。さらに中には山下財宝とも言われる金塊が隠されており、敵の真の狙いが明らかになっていく。

 敵のボスは人質を取り、金塊を奪おうとするが、主人公は隙をついて直接対決に挑む。格闘の末、ボスを倒すことに成功するが、ようやく到着したFBIの捜査官は登場早々に撃たれ、ほとんど活躍の場もなく終わってしまう。騒動の決着と共に、物語は終わりを迎える。

 作品の中で主人公が抱える「他人の感情がわからない」という特性は、しばしば担当医師との会話の中で語られ、それが逆にユーモアとなって物語の緊張を和らげてくれていました。そのコミカルさがキャラクターの魅力となっていて、物語を追いやすくしていたと思います。

 ただ、アクションに関してはやや物足りなさも感じられました。特に銃撃戦の場面では、低予算ゆえか臨場感に欠ける印象が残りました。潜水艦に搭載されていた機関銃を撃ちまくる場面がクライマックスの見せ場になっていたのは理解できるのですが、それ以上に敵も味方も銃弾がほとんど当たらず、緊張感が薄れてしまっていたように思います。

 また、武装集団の行動が知的とは言い難く、強敵としての脅威が感じられなかったのも、物語の面白さを削いでいた要素かもしれません。緻密な作戦というよりは、ただ騒がしいだけの印象が残ってしまいました。

 俳優陣については、電話越しの演技がメインだったメル・ギブソンが存在感を出していたのに対して、登場してすぐに物語から退場してしまうタイリース・ギブソンはややもったいなく感じました。それぞれの役者の見せ場がもう少しバランスよく配分されていれば、作品全体の厚みも増したのではないかと思います。

 全体として、突飛な展開やユニークな設定がありながらも、それを突き抜けた楽しさにまで昇華しきれていなかった印象を受けました。ただ、主人公の変わった個性や家族との距離感など、人間ドラマとして興味深く描かれていた部分もあり、部分的には惹かれるところも多い作品でした。

☆☆☆

鑑賞日:2023/03/23 WOWOW

監督デヴィッド・ハックル 
脚本クリス・ボレッリ 
出演スコット・イーストウッド 
メル・ギブソン 
ケヴィン・デュランド 
ファムケ・ヤンセン 
タイリース・ギブソン 
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