ドラマ【ベター・コール・ソウル シーズン6】感想(ネタバレ):静かに語られる罪と赦しの物語

Better Call Saul Season 6
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●こんなお話

 抗争が終わったと思ってたけどまだまだ続いてピンチになったり、【ブレイキング・バッド】後のソウル・グッドマンの話。

●感想

 ラロ・サラマンカの襲撃事件後、その場から逃れたと思われていた彼が、やはり生き延びていたことが明らかになる。ゆっくりと、しかし確実に主人公たちへと迫っていくラロの姿は、静かな恐怖を孕んでいた。そして、ラロ襲撃に関わっていたナチョの裏切りも発覚し、彼は父を守るために自ら命を絶つ決断を下すことになる。

 一方でジミーとキムは、新たな計画に着手していた。狙いは、サンドパイパー訴訟をめぐる逆転劇。標的はハワード。2人はあの手この手で彼の評判を貶め、周囲に「ハワードは信用できない」と思わせる演出を仕掛けていく。計画が成功した矢先、怒りを爆発させたハワードが2人のもとへ押しかけてきて、すべてを見抜いたかのように話していたその時、突然ラロが現れてハワードを射殺するという衝撃の展開が待っていた。

 ラロは、ガスのもとに出向いて暗殺を強要する。キムを使って陽動させ、ラロはガスの警備が手薄になった隙を突いて襲撃を仕掛ける。銃撃戦の末、ラロはガスに撃たれてその生涯を終える。

 ハワードの死は警察によって自殺として処理され、すべてが闇に葬られたかのように見える。ジミーとキムは表向き、いつもと変わらぬ日常を送っているようだったが、やがてキムはジミーの元を去る決意を固める。ジミーはその後、ソウル・グッドマンとして派手な弁護士業を展開していく。

 キムは時間を経て、自分の罪と向き合い、ハワードの妻にすべてを打ち明けようとする姿を見せます。その一方でジミーは飲食店の店長として働きながら、仲間とともに強盗行為を繰り返していくようになります。けれども、その秘密も次第にほころびを見せ始めます。集合場所の家主である女性の疑念が深まり、ついには失敗から仲間が逮捕され、ジミー自身も追い詰められてしまいます。司法取引によって軽い刑にすることも可能だったものの、ジミーは最後に自分のすべてを語り、自らの過去と向き合う道を選びます。その結果、86年の刑期が下されます。

 刑務所で暮らすジミーの姿には、どこか清々しさのようなものさえ感じさせられました。これまで数々の出来事をくぐり抜け、法の隙間をすり抜けてきた男が、最後に自らの言葉で真実を語る姿には心動かされるものがありました。

 今シーズンも、台詞に頼らず行動と映像で見せてくれる作風が一貫しており、その演出の巧みさに何度も息を呑みました。特に、会話が少ない中でキャラクターの心情が伝わる構図や光の使い方など、映像表現の力強さを改めて感じました。

 また、【ブレイキング・バッド】とのリンクが随所に織り込まれていて、シリーズのファンとしては非常に楽しめました。登場人物たちがどこかの場面で交差し、時にはすれ違い、やがてすべてが繋がっていく様子には、シリーズ全体を見返したくなる気持ちにさせられました。

 最終話においても、ジミーという人物はなお何かを企んでいるのではないかと感じさせる余白がありました。物語は終わったとしても、彼の中にはまだ燃え残る何かがあるように思えて、非常に印象深いシーズンの締めくくりだったと思います。

☆☆☆☆☆

鑑賞日:2022/11/13 NETFLIX

製作総指揮ヴィンス・ギリガン
ピーター・グールド
出演ボブ・オデンカーク
ジョナサン・バンクス
レイ・シーホーン
ジャンカルロ・エスポジート
パトリック・ファビアン
マイケル・マンドゥ
トニー・ダルトン
レイ・キャンベル
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