映画【13日の金曜日(1980)】感想(ネタバレ):クリスタルレイクで起きる恐怖と真相を描く名作ホラー

Friday-the-13th
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●こんなお話

 再開されたクリスタルレイクのキャンプ場でジェノサイドが起こる話。

●感想

 1958年、夏のクリスタルレイク・サマーキャンプでは、深夜に若いキャンプリーダーの男女が突然何者かに襲われ命を落とす事件が発生し、ほどなくしてキャンプ場には不可解な事故や火災が続いた。やがて「呪われた場所」として評判が広まり、キャンプ場は長く閉鎖されることになる。

 それから20年以上が経った1980年。管理者スティーブ・クリスティは放置されていたキャンプ場の再開を企て、若いスタッフを集めて準備を始める。アリス、ビル、マリシア、ネッド、ジャック、マーシーといった面々が集まり、清掃や整備を進めながら、ささやかなキャンプの空気を楽しみ始める。しかし地元の老人ラルフが突然現れ、この場所は危険だと警告するなど、再開を巡る住民の不穏な空気を垣間見せる。

 その頃から、スタッフの様子を遠くからじっと見つめる謎の視線が断続的に描かれる。夕刻、雷雨が迫る中でネッドが忽然と姿を消し、続いてジャックとマーシーが休んでいたキャビンにも何者かが忍び寄り、2人は立て続けに命を奪われる。さらにマリシアも倉庫で倒され、仲間は一人ずつ静かに姿を消していく。

 買い出しから戻ろうとしたスティーブもキャンプ入口で知り合いらしき人物と遭遇するが、安堵した瞬間に胸を刺され命を落とす。夜が深まるにつれ、残るスタッフはアリスとビルだけになり、発電機が止まって暗闇に包まれたキャンプでは恐怖が色濃く広がっていく。様子を見に行ったビルは戻らず、アリスが探すと壁に矢で固定された無惨な姿を発見する。

 パニックに陥るアリスの前に、かつてこのキャンプで働いていたと語る中年女性パメラ・ヴォーヒーズが現れる。彼女は穏やかに見えるが、徐々に語り口を狂わせ、1957年に息子ジェイソンが溺死したこと、その責任を若い監視員たちに抱き続けてきた憎しみを明かす。そして、キャンプ再開を阻止するため自らが殺人を続けてきたと語り、豹変したままアリスに襲いかかる。 

 アリスは逃げ込んだ建物や湖畔で必死に反撃し、何度も襲い来るパメラと揉み合いながら身を守る。最終的に湖畔でマチェーテを振り下ろし、アリスはパメラの首を切断して倒すことに成功する。
 翌朝、疲労困憊のままカヌーで湖の中央に身を置くアリスは、静かな朝を迎えようとしていた。しかし穏やかな水面から腐乱した少年の姿をした影が突然現れ、アリスを水中へ引きずり込む。

 その瞬間、場面は病院へ切り替わり、アリスは救助されたことを知らされる。彼女は「湖から少年が飛び出した」と訴えるが、警察は誰も確認していないと言う。アリスは不安げに、あの少年がまだ湖に潜んでいるのではとつぶやき、物語は静かな湖面を映しておしまい。


 1958年の冒頭でカップルが襲われる導入はテンポが良く、作品全体の雰囲気を一気に掴ませてくれる印象を受けました。その後1980年に場面が移り、再開を目指すキャンプ場にさまざまな若者が集まる流れなど、序盤にしっかり時間を割くことで、のんびりした空気と不穏な兆しが同時に漂う構成になっていたと思います。

 ただ、若いスタッフたちの人数が多く、行動も分散しているため、誰がどこにいて何をしているのか瞬間的に把握しにくい場面もありました。判別が難しいまま過ごす日常描写が続くため、事件が動き出すまでの流れが少し長く感じられた部分もあります。とはいえ雨の夜に入ってからの連続殺害は緊迫感が増し、ベッドの下から襲いかかる手やトイレでの急襲など、ホラーの王道らしい仕掛けが効果的でした。

 後半ではアリスがひとり残され、次々と見つかる仲間の遺体に翻弄されながら生き延びようとする展開が続きますが、犯人が中年女性であることが判明してからの攻防は独特で、ホラーらしさと異様な緊張が入り混じったシーンの連続でした。ただ、その追いかけっこが何度か繰り返される構成になっていて、緊迫感が落ちる瞬間も感じられました。

 少年ジェイソンの幻影が湖から飛び出すラストは非常に印象的で、作品の象徴的な恐怖として語り継がれる理由がよく伝わりました。スプラッタ要素がしっかりしていて勢いのあるホラーとして楽しめ、90分という短さで気軽に観られる作品だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2022/09/12 U-NEXT 2025/12/12 U-NEXT

監督ショーン・S・カニンガム 
脚本ヴィクター・ミラー 
出演ベッツィ・パーマー 
エイドリアン・キング 
ハリー・クロスビー 
ローリー・バートラム 
マーク・ネルソン 
ジャニーヌ・テイラー 
ロビー・モーガン 
ケヴィン・ベーコン 
ピーター・ブロウワー 
レックス・エヴァーハート 
ロン・キャロル 
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