映画【パワー・オブ・ザ・ドッグ】感想(ネタバレ)

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●こんなお話

 牧場を営む兄弟の弟が結婚して奥さんとその息子がやってきて、お兄さんとかみんなざわつく話。

●感想

 牧場を営んでいる兄弟の兄と弟。兄は粗暴で弟は紳士な対照的なキャラクター。牧場の男たちと出かけて食堂へ行くと、そこの女主人と給士をする息子を兄がからかう。弟は女主人が夜一人で泣いている姿を見て惹かれて結婚することになる。

 息子は医学生になるために家を出ていき、家に嫁いできてそこで旦那さんと住むけれど。兄からあからさまに嫌な態度を取られたり。使用人たちからも気を使われて居心地が悪く。お客さんたちの相手もストレス高め。お客さんを迎え入れて旦那さんが席を外して、1人きりにされたときの居心地の悪さのキルスティン・ダンストが素晴らしかったです。

 息子が夏休みで帰ってきて、牧場の男たちから女々しいと罵られながらも。しだいに牧場の兄と近づき始める。2人きりになっている様子を見て奥さんはやきもきしてお酒の量が増える。弱っていく母を見て自分が守ると約束する息子。生皮を使ってロープを作ってやると息子に話しているが、奥さんが仕返しとして先住民に生皮を売ってしまう。全部売られたことに激怒する兄。息子が「生皮がある」と話して兄と一緒にロープを作ることに。兄の亡き親友と息子を重ねる。兄がロープを作るがあっけなく彼はあっけなく…。

 台詞などでのわかりやすい説明とかがなく圧倒的な自然の風景の中で男女4人の行動をしっかり見ていないと読み取りにくい大人な文芸西部劇でした。西部劇といっても1920年代が舞台なので、牧場で馬を乗りまわす人たちですが、自動演奏ピアノが出てきたりして西部劇というわけでもなく。

 話が進むにつれて兄には秘密があることがわかっていきます。弟と一緒に寝て亡き親友に対する思いなど。風呂に入らないというのもそういう暗示なのかなと思いました。1人で秘密の場所で水浴びをして、そこに隠してある親友の写真。そして裸の姿を見られた後は息子に優しくなったり。

 弱弱しくバカにされていた息子ですが、病死した馬の皮をはいで保存していてそれを牧場主に…。そしてその皮で作られたロープを手袋をして自分のベッドの下にしまうという行動がホラーでした。

 静かだけど熱く激しい映画でした。

☆☆☆

鑑賞日:2021/12/26 NETFLIX

監督ジェーン・カンピオン 
脚本ジェーン・カンピオン 
原作トーマス・サヴェージ 
出演ベネディクト・カンバーバッチ 
キルステン・ダンスト 
ジェシー・プレモンス 
コディ・スミット=マクフィー 
フランセス・コンロイ 
キース・キャラダイン 
トーマシン・マッケンジー 
ジュヌヴィエーヴ・レモン 
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