ドラマ【ワンダヴィジョン】感想(ネタバレ):スカーレット・ウィッチの真実に迫る

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●こんなお話

 ワンダとヴィジョンが幸せに暮らしているけれど、何やらその生活はおかしなところがあって…な話。

●感想

 物語はアメリカの古いテレビドラマのような小さな画面サイズで始まる。主人公たち自身がそのドラマの登場人物を演じているという風変わりな設定で、最初の数話は30分ほどコメディ調のドラマが展開されていきます。ところどころに違和感を残す描写が挟まれ、これは単なるシットコムではないと観客に匂わせますが、それでも長い時間コメディを見せられるため、どういう心持ちで向き合えばいいのか戸惑うような幕開けでした。

 中盤以降は舞台となるテレビドラマの世界の外側に物語が移り、次第に真相が明らかになっていく。スカーレット・ウィッチの幼少期や、彼女たちが暮らす街がどのように誕生したのかが語られ、そこには「ペットセメタリー」を思わせるような切なさが漂っていました。最終話で訪れる別れの場面は、キャラクターに思い入れを持つファンにとって特別な意味を持つもので、強い感情を呼び起こす展開になっています。

 ただし、やはり序盤は退屈に感じられる部分がありました。意欲的な試みであるとは理解しつつも、観客として物語に入り込むのは容易ではなかったです。また最終話のバトルは迫力に満ちたスペクタクルで、映像としての見ごたえは十分でしたが、CGキャラクターが激しくぶつかり合う光景を見ていると、エリザベス・オルセンが想像上のエネルギーを放つ演技をしている姿が思い浮かんでしまい、どうしても冷静な視線で眺めてしまいました。

 敵役が「魔女」という設定も個人的には飲み込みにくく、主人公と敵が空中を浮遊しながら戦う場面は派手でありながらも、どこか寂しさを感じてしまいました。その一方で、クライマックスで家族全員が力を合わせて戦う姿は「インクレディブル・ファミリー」を連想させ、温かさを伴う見せ場として印象に残りました。

 全体を通して、実験的な構成やキャラクターの背景を掘り下げる試みは評価でき、ファンにとっては物語をより深く味わえる作品であったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2021/10/21 Disney+

監督マット・シャックマン
出演エリザベス・オルセン
ポール・ベタニー
テヨナ・パリス
ランドール・パーク
カット・デニングス
キャスリン・ハーン
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