映画【ファイナル・デッドサーキット】感想(ネタバレ):死のトラップが連鎖する快感ホラー

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●こんなお話

 今回はサーキット場の事故から生き延びた人たちが次々に死んでいく話。

●感想

 舞台はサーキット場。大学生のニックが突然、凄惨な事故の予知夢を見るところから始まる。レースカーがクラッシュし、炎に包まれた観客席で次々に命が失われていく。ニックはこの光景が未来の出来事だと悟り、友人のローリ、ハント、ジャネットらを連れて脱出。直後に本当に大事故が起き、彼らだけが生き延びる。しかし安堵も束の間、死は逃れた者たちを次々と追い始める。

 事故で死ぬはずだった人々が、一人ずつ不思議な死を遂げていく。最初は現場作業員が車のタイヤに巻き込まれて焼死し、美容院では女性が破片によって命を落とす。まるで見えない“死の順番”が存在しているかのように、彼らの運命は静かに収束していく。ニックは新たな予知を何度も見て、仲間を救おうとするが、運命はそれを許さない。プールの吸引口での惨劇やショッピングモールの爆発など、予測不能な連鎖が続いていく。最終的にニックとローリもまた“死”の連鎖に巻き込まれ、穏やかな日常に戻ったかに見えた瞬間、突如トラックが店に突っ込み、全てを破壊する。運命の輪は、決して止まることがない。

 シリーズ恒例の「死のデザイン」を楽しむ要素は今作でも健在で、オープニングのサーキット事故のシーンはシリーズ中でも屈指のスケール感だったと思います。あの一瞬で全てが崩壊していく映像は迫力があり、観ている側も息を呑むような臨場感でした。相変わらず不謹慎なまでに巧妙な“死のトラップ”を次々と見せてくる構成も、このシリーズならではの魅力だと思います。

 ただ、今作はシリーズ初の3D作品ということもあって、立体映像の迫力を優先している印象もあり、前作までにあった「偶然の連鎖」や「見えない死の不気味さ」といった緊張感は少し薄れていたように感じました。レイシストの男が自業自得の形で命を落とす場面や、プールの吸引口に引き込まれていくシーンなど、ショッキングでありながらもどこかユーモラスさがあるのがこのシリーズの特徴だと思います。個人的には、3D映画館での爆発シーンからエスカレーターへと続く一連の場面がとても印象的で、演出としても完成度が高かったです。

 死の連鎖を「いかに楽しむか」がこのシリーズの醍醐味であり、今作はまさにそのエンタメ性を突き詰めた一作だと感じました。怖さよりも派手さが前面に出た作品ですが、そこに割り切った潔さがあって、ホラーというよりアトラクション的な面白さを味わえる映画だと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2010/09/27 Blu-ray 2015/06/03 Hulu 2021/09/11 NETFLIX 2025/10/10 U-NEXT

監督デヴィッド・R・エリス 
脚本エリック・ブレス 
出演ボビー・カンポ 
シャンテル・ヴァンサンテン 
ミケルティ・ウィリアムソン 
ニック・ザーノ 
ヘイリー・ウェブ 
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