●こんなお話
フィスクに買収されたり脅されたりしてみんな彼の言いなりになる中、デアデビルや仲間たちの話。
●感想
前シーズンの爆発で生死不明となったマット・マードックは、修道院に運び込まれ、瀕死の状態から奇跡的に目を覚ます。だが身体は傷つき、聴覚も鈍り、自らの力を失ったと感じて絶望していく。信仰にも揺らぎを覚え、ヒーローとしての使命すら見失いながら、彼はひっそりと復活の道を探る。カレンやフォギーはマットが死んだと思い込んでいたが、彼はその事実を隠したまま静かに身を潜めていた。
そのころ刑務所に収監されていたウィルソン・フィスクは、暗殺者に命を狙われたことをきっかけに司法取引を利用し、FBIの保護下に置かれる。高級ホテルに移り住みながらも、裏ではエージェントたちを次々と取り込み、再び街を支配下に収めていく。マットはフィスクの動きを知り、再びデアデビルとして立ち上がる決意を固めるが、身体も心もまだ完全には回復していなかった。
やがてFBIの捜査官デクスター・ポインデクスター、通称デックスが登場する。彼は投擲や狙撃の腕が異常に優れており、フィスクに取り込まれていく。そしてデアデビルの偽者として世間を騒がせ、本物のマットを犯罪者に仕立て上げていく。人々は混乱し、マットは孤立を深める。カレンは記者としてフィスクの罪を追い、フォギーは法で対抗しようとするが、フィスクの根回しで追い詰められていく。カレン自身も過去を暴かれ、精神的に苦しむことになる。マットもまた、父の死にまつわる罪悪感や信仰の揺らぎと向き合いながら、最終的にフィスクと対決する覚悟を固めていく。
クライマックスではマット、デックス、フィスクの三つ巴の戦いとなる。デックスは何でも武器に変えて戦い、圧倒的な強さを見せるが、マットは命をかけて立ち向かう。壮絶な戦いの末、マットはフィスクを殺すこともできたが、最後の一線を越えることはなく、彼を生かす道を選ぶ。そして再び牢獄に送り込み、街にわずかな平和を取り戻す。カレンやフォギーとも和解し、「ネルソン&マードック」として再出発を誓う。物語は、デクスターが背骨の手術から目を覚ます場面でおしまい。
序盤は修道院で傷を癒すマットの姿と、刑務所で次第に権力を取り戻していくフィスクの姿が対比的に描かれており、特にフィスクが高級ホテルへと移されながら周囲を支配していく過程は非常に恐ろしく、悪役としての存在感が際立っていたと思います。序盤はむしろフィスクが主人公のようで、彼がいかに人を操るかをじっくりと描いていた点は見応えがありました。
ただしデックスやカレンの過去にスポットを当てたエピソードは丁寧ではあるものの、少し冗長に感じる部分もありました。しかし偽のデアデビルが現れてからは一気に物語が加速し、緊張感が増していく構成は大変見事だったと思います。マットの母親の存在が明かされる点も意外性があり、彼の内面に深みを与えていました。
アクションシーンは特筆すべきもので、刑務所での長回しによる脱出劇は迫力が圧倒的で、息を呑む緊張感がありました。デアデビルが仲間と連携し、聴力を駆使して敵を撃退する場面も大変熱く、心を揺さぶられるシーンでした。デックスが身近なものを投げつけて武器とする戦い方は少し滑稽に映りましたが、それもまた彼の個性として印象に残りました。
最終的にフィスクの圧倒的な支配力に翻弄されながらも、仲間と共に立ち上がり、法律と拳の両面からフィスクに挑むクライマックスは感動的で、作品全体を大きく盛り上げるものでした。最終話まで熱量を保ち続けたこのシーズンは、デアデビルの苦悩と再生を描き切った物語として大変印象深いものでした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2021/03/23 NETFLIX 2025/08/19 Disney+
製作総指揮 | マルコ・ラミレス |
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ダグラス・ペトリ | |
ジェフ・ローブ |
出演 | チャーリー・コックス |
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デボラ・アン・ウォール | |
エルデン・ヘンソン | |
ロザリオ・ドーソン | |
ヴィンセント・ドノフリオ | |
ジョン・バーンサル |