映画【ハード・ナイト】感想(ネタバレ):クリスマスの安置所で暴走する密室サスペンス

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●こんなお話

 大雨のクリスマスイブの遺体検死中の主人公たちのところに武装した人たちがやってきて遺体に残った銃弾を取り出せと要求してくる話。

●感想

 クリスマス・イブの夜、香港の公営安置所で監察医ニックと助手リンは、静かな夜勤を過ごしていた。そんな平穏は突然破られる。サンタやルドルフ、エルフと名乗る覆面の武装集団が施設に押し入り、特定の遺体に残された弾丸をすぐに取り出すよう迫ってきたのだ。彼らはその弾丸が自分たちにまつわる事件の証拠であり、消し去れば全てを覆せると主張する。ニックは混乱を抑えつつ相手の意図を探ろうとし、遺体から弾丸を取り出すふりをしながらすり替えを試みる。

 やがて武装犯の正体が、汚職に手を染め麻薬の横領にも関わっていた警官たちであることが判明する。通信は遮断され、安置所は密室と化し、警備員や清掃員など巻き込まれた人々にも負傷者が出はじめ、ニックとリンは精神的にも肉体的にも追い詰められていく。それでもニックは施設内の構造を最大限に利用し、医療器具や遺体格納庫、冷凍室などをうまく使って反撃の隙を探る。リンもただの助手ではなく、危険を承知で行動に移り、二人は何度か敵の裏をかくことに成功する。

 通報を受けて駆けつけた警官隊は内部の状況を把握しようとするが、武装犯との応戦でさらに混乱が広がる。銃撃の中でリンは証拠の弾丸を守りながら逃走し、ニックは引火物をばらまいて爆破を狙うなど、事態はより危険な方向へと進む。犯人側でも内部対立が起こり、互いに銃を向け合う状況が生まれる。緊張が極限に達したころ、主犯がかつて逃がした犯人によってニックの妻が殺されていた事実が明かされ、事件はニック自身の過去ともつながっていたことが浮かび上がる。

 最終局面では安置所全体が爆破の危機に晒される中、主犯は証拠の弾丸を追って高いところから落下、施設の爆発とともに吹き飛ばされる。ニックとリンは土壇場で脱出し、二人は外の空気を吸いながら静かにクリスマスを迎えるのだったでおしまい。


 遺体安置所に武装集団が押し入り、遺体の中から弾丸を探し出すという設定には意外性があり、この導入だけでも興味を引かれるものがありました。クリスマスの夜に閉ざされた空間で主人公が戦うという構造は、いわゆる「ダイ・ハード」的な楽しさを備えており、ジャンル映画としての魅力は一定の力を持っていると感じます。

 ただ、物語全体としては数多く作られてきたタイプのアクション作品の枠から大きく飛び出す印象は受けませんでした。香港映画らしい勢いや熱量が前面に出ているわけでもなく、ほどよくまとまっているものの、どこかこじんまりとしているように感じられました。特に敵側の人数が少なく、驚かされるような迫力に欠けていたのは少し物足りなかったです。また、主人公が監察医という立場にもかかわらず、必要以上に対立を煽っているように見える場面があり、行動の説得力が弱まる瞬間もあったように思います。

 安置所の広さも把握しづらく、どこまでが施設内なのか掴みにくい印象が残りました。一方、見回りに来た警官が意外なほど奮闘を見せたり、主人公が機械を使って反撃する場面など、少し意外性のある描写には作品の楽しさを感じました。ただし、クレーンで首を締め上げる攻撃や、銃弾を投げつけて落下させる決着などはコミカルにも見えてしまい、盛り上がりより驚きの方が勝っていたように思います。

 主人公が何度殴られても平然と走り回るスタミナは、もはや人間離れしたものがあり、そこも含めて娯楽映画らしい明快さとして楽しむのが適しているのかもしれません。全体として大作感はないものの、静かな夜に起こる密室劇として気軽に味わえる一本という印象を持ちました。

☆☆☆

鑑賞日:2020/12/15 DVD 2025/11/19 U-NEXT

監督レニー・ハーリン 
脚本ウー・メンジャン 
チャン・ユー 
原案デヴィッド・レッサー 
出演ニック・チョン 
ヤン・ズー 
リッチー・レン 
フォン・ジーアイ 
クララ・リー 
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